フルートを愛する、またはフルートを志す人には、もはや神的なアルバム。1998年の「パンの笛」から20年以上の時を経ての続編です。
今回はオール無伴奏、有田さんの音楽人生を総括する様な演奏は一曲も聴き逃すことができません。使った楽器は17本とのこと。
- オトテール『ル・ロマン』:プレリュード ニ長調
- J.S.バッハ:ソロ(パルティータ) イ短調 BWV.1013(アルマンド/コレンテ/サラバンド/英国風ブーレ)
- ルベル:パッサケーグル ホ短調
- バッサーノ:リチェルカータ第5番ニ調
- クヴァンツ:アラ・フランチェーズ ニ長調
- ドンジョン:8つのサロン・エチュードから(エレジー/セレナード/風の歌)
- オトテール『ル・ロマン』:間奏曲イ短調
- C.P.E.バッハ:無伴奏ソナタ イ短調 Wq.132/H.562(ポコ・アダージョ/アレグロ/アレグロ
- ブラヴェ:ロンドーによるジーグ ホ短調
- 有田正広:羽高
- 作曲者不詳(17世紀):ブドロ(『アポロンの饗宴』から)
- ファン・エイク:我が美しきアマリッリ ニ短調
- ミュラー:モーツァルトお気に入りの主題と変奏 ト長調(有田正広編)
- 武満 徹:エア
- ドビュッシー:パンの笛、またはシランクス
- オトテール『ル・ロマン』:終曲 ヘ短調 リスト
選曲のコンセプトは「生と死」。
どの曲が生でどれが死というわけではないですが、この二つの言葉を感じさせる曲を中心に選びました。
有田さん作曲による≪羽高(うこう)≫という曲がアルバムの真ん中辺りに配置されています。有田さんが敬愛する陶芸家中里隆さんのお茶室の名前に由来するそうです。
中里さんの作陶姿を見ていて心に浮かんだ着想をスケッチしていたのでそれをもとに演奏した
そのスケッチを今回楽譜にしたものとのこと。なかなか興味深いお話です。
これ以外にも、ジョヴァンニ・バッサーノ(Giovanni Bassano, 1558-1617)やジャン=フェリ・ルベル(Jean-Féry Rebel, 1666-1747)など、クラシックやフルートに親しんでいてもレアな作曲家の作品も多く、コンセプト・アルバムとしても秀逸です。1998年の録音の前作とともに、これから繰り返して聴くことになりそうです。
(参考)
- レコード芸術 インタヴュー 2021年7月 Vol.70 No.850
- 有田正弘さんの「パンの笛~フルート、その音楽と楽器の400年の旅」 Clala-Flala 2021.7.28
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