2009年1月22日木曜日

ドゥダメルのベートーベン交響曲第5、7番(DG 1week)

DGの1週間視聴サービスで真っ先に聴いてみたのが、今更ながらにドゥダメルのベートーベン。話題になるだけあって、注目に値する演奏でした。買っていない盤の演奏を、しかもストリーミング配信されているものを評する行為が「妥当」なのかはさておき、インプレッションを書いておきます。

問題はドゥダメルの楽天性と明朗性についてどのような判断を下すかです。今のところは素直に肯定、受容する気持ちと、態度を留保したい気持ちに分かれています。

ドゥダメル自身、インタービューなどで語っているように、彼は音楽の力を信じています。またベートーベンの交響曲の持つ音楽的テーマについても精通しています。またベネズエラという国、決して西側諸国のように裕福とは言えない環境に居た音楽家達によって演奏されるベートーベンということ。

これらをすべて理解するかしないかに関わらず、演奏から聴こえてくるのは楽天性と明朗性。そして単純な世界観と若者らしい可能性と希望です。悪いはずはありません。いやむしろ出来すぎているとさえ感じます。

音楽と同時進行で主観的感想を連ねてみたら、A4で4枚もの賛辞と疑問で埋め尽くされました。それ程までに刺激的で驚きの演奏です。既に多くの人たちが熱狂的に支持するのも首肯できます。特に交響曲第七番 終楽章の圧倒的なスピードとリズム、凄まじいまでの疾走を聴くと、体の内部からふつふつと沸き起こる本能的肉体的な喜びを抑えることができません。

第五番 第三楽章のコントラバスの響きも鳥肌ものです。チェロとコントラバスのフガートの部分です。コントラバスがこんなにもリズミカルに弾けられるものでしょうか、まさに「踊る巨象」です。

You Tubeにプロムスの映像があります。まるで「のだめ」でも披露されていた楽器回し(本当にクルクル回す!)。あのノリと軽さ、ラテン的健康な官能性。(本当にあの映像は衝撃です)。クライバーの洒落て豪奢なノリとも違う。

とはいえ、いわゆる爆演系とはなっていない。弱音も丁寧に、ダイナミックレンジも広い。ですから、聴く前に想像していた演奏とは少々異なり、最初に聴いいたときには肩透かしのような感じがしたものです。何度か繰り返して聴くに従い、彼のこの盤における特性が分かるようになってきました。深い精神的ドラマは歌われていませんが、ラストへの歓喜を志向する強い確信と希望を感じます。そこには南国を吹き抜ける生ぬるい熱風さえ錯覚します。いいぢゃないですか。ベートーベンに深い精神性を求めるならば、何もドゥダメルを聴かなくても満足できる盤は他にもありましょう。

さて、こうして何度か繰り返して聴いてみますと、彼がほかの曲もどう料理するのか、ぜひとも聴いてみたいという欲求が沸き起こってきました。