2008年12月15日月曜日

誉田哲也:ストロベリーナイト



こういうサスペンス小説が最近は受けるのでしょうか?

男性社会でぶれることのない立ち位置を占める存在感ある女性が主人公であること、官僚組織の典型である警察を舞台としていること、そして猟奇的殺人事件と意外なる結末。「売れる」要素は兼ね備えています。

しかし、私にはどうにも、こうにも。サスペンスはこのごろほとんど読みませんけど、もっとマシな小説もありましょうに。大阪日帰り出張の往復の新幹線の中でヒマつぶしにでもと思った本で、多くを期待して読んだわけでもありませんから、いいんですけどね。

何よりも受け付けないのは、猟奇的にしてグロな描写。最近の読者は、このくらいに刺激的でなくてはモノ足りませんか。読者がバカにされているような不快な気分です。刺激的であればよいというものではない。

残虐さと相反するかのような、下手なユーモア、コテコテの人間関係は下手な漫才を見ているよう。主人公の過去には、主人公の成長物語として読むこともできますけど、重いテーマが刺身のツマみたい。

そして警察の嫌というほどのセクショナリズム。組織のしがらみとか、出世とかキャリアとか=3私のような中間管理職のサラリーマンは、身につまされたり、共感するところもありましょう。でも、それが逆に確信犯的に感じられ、これまた作者にコケにされているように感じる。

解説者が「キャラが立っている」と書いたところで、クセがある人物というだけでそれ以上ではない。

犯罪者心理や動機や背景にも共感を全く覚えません。社会の暗部をえぐってもいません。

所詮エンタメ小説、読んだらすぐさまBOOK OFFという運命であることに変わりはなく。怖いものみたさを満たす小心でスケベな感情と、自己憐憫と自己弁護のためのガス抜きと言ってしまえば、きつ過ぎますか。

ファースト・インプレッションにしては批判的すぎるとは思います。同じ作者を続いて読む気には、今のところなりません。また新幹線にでも乗るというのなら別でしょうけど。