芸術家という生き物は奇妙な生き物です。練馬区美術館で開催されていた「石田徹也展」と一緒に開催されていたのが、セロテープアートの第一人者、瀬畑亮の個展。(公式HP)
日経新聞か何かで紹介されていて名前を知りました。彼女は市販のセロハンテープを巻上げて造形を造ります。幼少の頃からセロテープに異常な興味を抱いていた彼女は、与えると使い切るまでセロテープをいじくりまわしていたそうです。母親が、これだけ与えれば諦めるだろう、飽きるだろうと、袋一杯のセロテープを与えたら、彼女は水を得た魚とばかりに、袋一杯のセロテープを使いきった・・・。
正直、彼女が造形をどうして「セロテープ」で造らなくてはならないのか、理解できません。蜜蝋のような独特の色。仔細に表面を見ると、セロテープが気の遠くなるほど巻かれているらしい痕跡。かつては「芯」を用いて造っていた時期もあったのだとか。しかしある人から、その「虚」を指摘されてからは、手が腱鞘炎になるのも厭わず、芯を用いないところから造形を造るようにしたそうです。
塊の全てが薄いセロテープの積層体であると思ったときの、そこに込められた時間と想いに、少しばかりクラクラします。
彼女の造るオブジェは他の素材、例えばFRPとかガラスとか鋳物などでも可能です。しかし彼女はセロテープ以外の素材では表現できず、得られた作品の質感、重さ、密度感も、セロテープ以外では、おそらくありえないのでしょう。
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