2008年1月15日火曜日

歌舞伎座:新春大歌舞伎


先日、歌舞伎座の夜の部を観てきました。演目は「鶴寿千歳」「連獅子」「助六由縁江戸桜」。私は歌舞伎を観始めてそれ程たっていませんので、所謂歌舞伎十八番の中でも有名な「助六」を観るのは今回が初めて。成田屋演ずる助六であれば観ずばなるまいと楽しみにして参った次第です。



「助六」の主な配役は、助六の團十郎、白酒売新兵衛の梅玉、揚巻の福助、髭の意休が左團次、そして曽我満江が芝翫であります。これだけでも何たる豪華な顔ぶれでありましょうか。


幕は團十郎が市川家のお家芸として重要な演目であることを口釈してから始まります。浄瑠璃は河東節十寸見会御連中、河東節は江戸浄瑠璃で二代目団十郎が助六を演じた時から使われているのですとか。


芝居のまず最初は、ご存知の通り意休と揚巻のやり取りが山場です。例の揚巻の悪態の部分、すなわち


意休さんと助六さんを並べて見るときは、こちらは立派な男振り。こちらは意地の悪そうな顔つき。たとえていわば「雪」と「墨」、硯の海も鳴戸の海も、海という字は一つでも、深いと浅いは客と間夫、間夫がなければ女郎は暗闇、暗がりで見てもお前と助六さんを取りちがえてよいものかいナァ


の部分。いやァ、気持ちが良い。客席もやはり喝采です。福助の揚巻は威勢がいいだけではなく、間夫である助六への気持ちが真に痛いほどに伝わってくる、なるほどに見事。


助六が登場するのは、随分と後になってからです。いわゆる助六の出は、笠をさした助六が花道で延々と踊ります。安い席で観ているので全く花道が見えず、これでは欲求不満になります、残念。


以前も書いたことがありますが、だいたいに、私は團十郎の芝居が好きです。彼のおおらかさ、ほがらかさ、大きさ、そしてユーモアを、彼が舞台に現れるだけで感じ取ることができます。彼が喋るだけで幸せな気分になります。今回は意休にわざとケンカをふっかける、その悪さ憎らしさ振りがハマっています。台詞回しは若干聞き取りにくいところがあるのですが、とにかくに楽しい。それを受ける、白酒売の梅玉も抜群、これぞ和事味というのでしょうか。


左團次の意休は、いまひとつ固いイメージの役づくりになっていましたが、これはどうなんでしょう。というか立派なんですよ、揚巻に言い寄るイヤな奴という雰囲気ではない。ラストでは助六を打ち据え意見までする。ゴロツキを敢えて演じる助六よりも数段格が上なんですよね。勉強不足ですが、こういう役柄なんでしょうか意休というのは。


満江の芝翫というのには驚きました(配役確認してなかったので)。こういう役は芝翫はうまいなあと、少しの出なのにしっかり親の情が出る。


という具合に2時間ちかくにも及ぶ古典劇ですが、正月らしい煌びやかな舞台であり楽しめるものでした。原作だけでしっかり面白いのですから、最近のお笑いの芸を取り入れて観客に媚を売る必要まではないと思うのですが、いかがでしょう。


「鶴寿千歳」は筝曲の舞踏です。筝が入るとお正月気分が沸き立ちます、音色を聴くだけで至福の気分。これも後半は芝翫と富十郎が踊るのですが、いやはやです。足元が危なくはないかとハラハラするのですが、そこはそれ、厳かに舞っています。踊りに衰えもあろうかとは思いますが、ヒシヒシとした緊張感を感じてしまいました。いったいに何時まで彼らの舞台を見られるものでしょう。


幸四郎と染五郎の「連獅子」は、2005年11月の吉例顔見世大歌舞伎以来。感想はあの時と変らないのでバスします。ただ、二度目ともなると、以前よりはよく舞踏の意味がわかってきましたので、その点、以前よりも充分に楽しめました。