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2009年1月19日月曜日

Deutsche Grammophonのサービス

Classicaのiioさんが紹介している通り、最近のネット技術を使った音楽配信には目を見張るものがあります。ベルリンフィルのライブ中継やライブラリーの閲覧は、TVニュースで流されたほどです。自宅のiMacで実際にアクセスしサンプル映像を確認してみますと、映像の解像度、音質はきわめて高く、ついにここまで来たかと驚きを新たにしました。

一方でDeutsche Grammophonによる、1アルバム99セントで1週間限定視聴サービス~ Stream (7 Days)~も驚異的です。今のクラシック界においてDGのレーベルの魅力がどの程度かはさておいても、膨大な黄色レーベル音源が、わずか99セントで聴けるとなれば話は違います。

今まで買うのを躊躇っていた盤も、どんどん聴いてしまいそうです。だいたい、CDを買って感動したところで、取り出して聴くのはせいぜいが数度。それも買った最初の数日間に限られてしまいます。あとは余程のことがないかぎりは、CDラックの中で再び王子が見つけてくれるまで深い眠りに入るのが関の山です。

このようなサービスが、レーベルにとって真に利益をもたらすのか私には判断がつきません。Naxos Music Libraryに提供する音源が続々と増えていくということは、音楽配信にとって新たなビジネスモデルが確立しているのかもしれません。

ネットのあちら側に膨大なソフトがあるという世界(狭義のクラウド・コンピューティング?)は、今までの所有を前提とした世界観を根底から覆します。amazonの電子ブックにもその予感があります。個人が買うのは「権利」だけになるのですから。具体的な物が信用取引に還元されてしまいます。

理想は端末を通じて「あちら側」の膨大なソフトに、いつでもどこでもアクセス可能という状況でしょうか。ランニングのお伴として何を選択するのか、それだけで10分以上迷いそうですね。

DGも結局はハードなメディアを買ってもらうことで利益を得ようとするならば、配信する音楽に制限をかける~たとえば、ある楽章を全曲ダウンロードでなくては聴けないようにする、あるいは人気のある新盤は1weekに対応しないとか…~の措置をすることは考えられます。実際にすべてが1weekの視聴に対応しているわけではなさそうです。

企業の論理を優先して顧客を囲い込むことが、著しく顧客の利便性を阻害していることが指摘されています。最近の新聞記事では携帯電話の料金契約体系についての指摘ですが、似たような事例は事欠かないでしょう。電子マネーや音楽フォーマットなどの規格争いなどもその典型でしょう。企業側の生き残りを賭けた姑息な対応は、著しく顧客満足度を損ない、しいては企業に対する不信感につながる可能性があります。結果的に消費者に愛想をつかされると。

まあ、そういう難しいことを考えずに、聴ける間に聴ける曲を聴けるだけ聴いてしまった方が得であることだけは確かです。他にもネットを通じて配信されるソフトは多く、それほどの時間を音楽視聴にかけられるかの方が問題でしょうけど。

で、まず聴いてみたのはこの盤でした(つづく、そのうち)。

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