2004年1月5日月曜日

天木直人:さらば外務省!― 私は小泉首相と売国官僚を許さない



天木氏は元レバノン特命全権大使、小泉政権のイラク攻撃に反対する意見具申(「対イラク攻撃に対する我が国の立場」)を官房長官宛に打電し、それが小泉政権批判になるとして辞職させられた人である。彼に対する退職勧告は君は組織の枠を踏み外したというものだったらしい。本書は外務省批判本であり、元外務大臣の田中議員が「伏魔殿」と称された以上の腐敗状況を実名入りで書き綴った本でもある。




手元に本書がないので、引用や紹介はできないが、この本を、辞職させられた腹いせの、単なる暴露本と捕らえるのでは、天木氏の、それこそまさに血を以て書かれた書に対しては失礼であると思う。天木氏は外務省と政府批判を書いてはいるが、実のところ今の日本社会を活写している


外務省に限らず、批判を全く受け付けず、体制を批判する者を容赦なく排除する組織体制。組織を維持することが目的と化し、組織から得られる利権のみを求める組織員。これは何も外務省のことばかりではないと思い至る。これは外務官僚や小泉政権に対する批判に留まらず、広く日本国民への批判の書となっている。


驚くべきは今日の日本に、国民のため、国家のために役立とうという高い志を持った官僚は皆無全ての官僚は、時の権力者に取り入って出世すること生き甲斐を感じるか、出世競争に敗れたと悟るや否や、少しでも見返りを確保しようと躍起になるかのどちらかと天木氏に書かしめる体質である。自己の信念のためことを成し遂げようなどと思うものはいないとまで言い切っている。


読んでいて、言い知れぬ無力感にとらわれると同時に、天木氏の書く内容は内容はストレートで分かりやすいが、少し感情的になっているのではないかも思わないわけではない。天木氏の言うように、志の高い官僚は皆無なのだろうか。批判するのは良いが、独善的な感想から全外務省を敵に回し反感を買っても得策であるとは思えないのだが。


彼のような官僚が働くことのできない日本政府、あるいは日本の社会というのは一体何なのだろう、誰のものなのだろうかと、読み進めるうちに怒りと諦めの気持ちがないまぜになってくる。それを打破する道があるのかないのか、天木氏は最後にいくつかの提示をしている。この書が日本の政治システムの夜明けになることを期待すると天木氏は締めくくるが、日本の場合「市民運動」のようなものは盛り上がらないのだよなあ……