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神奈川県区民センター(かなっくホール)で開催された、曽根麻矢子さんのチェンバロコンサートに行ってきました。あくまでも高木さんは「ゲスト出演」ですが、私の場合は目当ては高木さんのフルートでありました。しかし曽根さんのチェンバロも悪かろうはずもありません。
- 第一部(チェンバロ・ソロ)
- ラモー:クラヴサン曲集 より「ミューズたちの対話」
- クープラン:クラヴサン曲集 第14オルドルより「恋のうぐいす」
- ラモー:クラヴサン曲集より「一つ目の巨人(ロンドー)」
- J.S.バッハ:パルティータ第1番 変ロ長調 BWV825
第二部(デュオ、フルートソロ) - ヘンデル:15のソナタ Op.1 より第4番 イ短調
- ヴィヴァルディ:フルート・ソナタ ト短調 Op.13-6
- ドビュッシー:シランクス
- J.S.バッハ:フルートとハープシコードのためのソナタ ロ短調 BWV1030
- 日時:2007年10月14日(日) 14:00~
- 会場:かなっくホール
- 曽根麻矢子(チェンバロ) ゲスト:高木綾子(フルート)
- チェンバロ:David Ley 1977年製作のフレンチDUMONT1707年モデル
第一部は曽根さんの即興的なトークも含めリラックスして楽しめる演奏会でした。特に、一曲目が終わった後は、客席の十数名を舞台に上げ、チェンバロの傍で「恋のうぐいす」を聴かせてあげるなど、堅苦しく音楽を聴かなくてもいいんだよとでも言いたげな企画でありました。
曲目としては、しっかりとチェンバロでバロックを満喫したいという向きには、多少食い足りないところは残ったかとは思います。高木さん目当ての私でさえ、もっと弾いて欲しかったと思ったくらいですし。それでも、ラモーが生で聴けたからよかったかな。
第二部は高木さんをゲストに迎えての演奏です。高木さんの音色はいつ聴いても「ウげっ!」とばかりに驚いてしまいます。かなっくホールは300席程度でフルートには丁度良い大きさなんでしょうか。彼女が最初の一音を奏でた時に、一体どこから音が出ているのだろうと思わせるほどに、ホール全体が響きます。音の深みとまろやかさは一層に円熟味を増したかのよう。それに呼吸法のうまさでしょうか、息継ぎが自然でワンフレーズが恐ろしく長い。それゆえに、旋律の連続性がはっきりと伝わってくる。さすがと言いますか、貫禄といいますか。
途中にソロでドビュッシーの「シランクス」が奏されました。チェンバロとバロック音楽を主体とした曲目には、いささか不釣合いな感は否めないものの、彼女の「シランクス」が聴けたのは儲けものといえましょう。それ以外の曲も、フルート・ファンには馴染みの曲ばかりで、楽しむことができました。彼女の演奏には、ときどき高木節とでもいうような癖を感じることもあるのですが、これも彼女の演奏の味でしょうか、よしとしましょう。
アンコールは曽根さんのチェンバロ・ソロ。「ゲストというのに、随分演奏してもらいましたから、アンコールはチェンバロを弾かせてください」みたいなことをおっしゃってから2曲ほど披露。最後の曲は、最近パリで録音したばかりの平均律から。
曽根さんと高木さんのデュオは1年に二度ほどやりたいとのこと、次回は来年3月頃に計画ですとか、楽しみが増えますね。
今日は東神奈川という場所がらか、300席の客席にも空席が目立ちました。知名度抜群の彼女ら二人をしても、神奈川では満席が難しいというのは、かなっくホールの宣伝の下手さなのか、あるいは、それが音楽事情なのか。