意見箱にこの問題を書いたのが、2月14日と5月1日のこと。そして今日の新聞記事による判決だ。
住民の景観尊重の意見を組み入れ、20mを越える部分の撤去あるいは、撤去までの慰謝料と弁護士費用のの支払いをディベロッパーに命じた。判決では「(景観は)法的保護に値し、侵害行為は不法行為に該当する」と違法性を指摘した。
地裁ではあるものの、この判決の意義は大きい。確認申請を認可した行政責任と条例の関連など、行政対応のまずさについても今後焦点になると思う。いずれにしても、経済優先でやったもん勝ちという状況にNOを突き付けた意義は改めて大きい。
反対住民のサイトは以前紹介したが、まちづくりデザインワークスというサイトでもこの問題を紹介していると、教えていただいた。ここでは企業サイドによる法改正前の「駆け込み着工」に対し疑義と改正を求めている。
一方で訴訟問題が起こっていることが分かっていながらも、そのマンションを買う人が居る、欲しい人が居るということ。マンションに移り住む人には、地域住民が長い年月に渡って守り育ててきた存在の重さは知らない。地域住民たちの果実のみを借用し販売に利用するというスタンスは、企業論理は理解するにしても、冷静に見ると野蛮で破廉恥な行為に思える。
欧州では都心部に建てる建築に厳しい規制をかけているが、それに対する反発や反動がないわけではない。しかし規制と議論を通して自分たちの住む場所をよりよいものにしていこうという意思の力は感じられる。日本にはそういう土壌が薄いように思える。
問題は「景観」という、ともすると好みの分かれるデザイン的な問題として捕らえられがちだが、実際は、地域コミュニティのあり方、自分たちの住む地域社会の維持の仕方という、地方自治にもつながる問題を内包しているように思える。それが保守的な地域セクショナリズムや排他主義であるかも含め、地域の自治問題であるように思える。
今回の判決は、企業に勤める身としては複雑な思いで訴訟の行方を見守っている、というのが正直な感想だ。この件には複数の訴訟が起こされているが、それについては、読売新聞の記事を以下に引用しておきたい。
◆複数の訴訟、分かれる判断◆
このマンションを巡っては、ほかにも複数の訴訟が起こされ、司法判断が分かれている。近隣住民が東京都多摩建築指導事務所に、条例で定めた高さ制限を超える部分の撤去を命じるよう求めた訴訟では、1審・東京地裁が昨年12月、「高さ20メートルを超える部分は条例に違反する違法建築物で、景観に対する利益にも重大な被害を生じさせた」との判断を示したが、撤去命令を出すかどうかは都側の裁量とする住民側一部勝訴の判決を言い渡した。
これに対し、2審・東京高裁は今年6月、「マンションは条例の施行前から着工されており、違法建築物ではない」と住民側逆転敗訴の判決を言い渡し、現在、最高裁で係争中。
一方、明和地所が国立市に約4億円の損害賠償を求めた訴訟では、1審・東京地裁が今年2月、「高さ制限の条例は(明和地所の)マンション計画を阻止するためのもので、(明和地所の)権利を違法に侵害した」として、同市に4億円の支払いを命じ、現在、東京高裁で審理が続いている。
��以上、12月18日 読売新聞電子版より引用)
HIYORIみどり 「撤去っていったって、人も住んでいるんでしょう? どうすんの?」
KAZAみどり 「明和地所も、こんな判決になるとは考えていなかったとコメントしていて当惑気味ね。撤去命令を受けた部分は賃貸で、現在は1戸だけ入居しているそうね。撤去対象とならなかった住民も"負けるとは思っていなかった" "もしもの時のために7階以下を買った"とコメントしていたわ」
HIYORIみどり 「住民は、景観のいい付加価値高い場所として購入したのでしょうね。地域住民の今までの努力の上に胡座をかいていると思われても仕方ないかもね。売主は訴訟問題も"大丈夫"とかうまいこと言ったんでしょうね」
KAZAみどり 「マンション住人にも司法はNOと言ったということになるのかしら、あなたたちに権利はないと。マンション住民もディベロッパーを訴えるかもしれないわね」
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