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2002年12月29日日曜日

レッスンメモ

フルートの演奏を聴きに行ったり、個人練習をしたり、あるいは知人とアンサンブルをしたりと、それなりにフルートに触れる生活はしているのだが、腕前の方はまったく進歩なしという感を受けるこのごろ。行き詰まりも感じているので、今日は久々にレッスンを受けてきた。

前回のレッスンからは5ヶ月もあいてしまったのだが、前回やったプラヴェは時期尚早であると自己判断し、指に問題のない曲を選んで見ていただくこととした。(個人練習でもムリ目の曲は、しばらくやらないことにした)

ドビュッシー「夢」

私はフランスものというか、とくにドビュッシーのような、どこかとっかかりのつかみにくい曲が苦手である。聴いている分には、なんて気持ちの良い曲だろうと思っていても、いざ吹いてみるとぎこちない表情にしかならずに、うんざりしてしまう。

この曲は、もちろんピアノソロによる曲で、題名のとおり夢見るような緩やかさに満ちた曲だ。以下はレッスンでの指摘から記憶する範囲で記しておく。

2小節ピアノ伴奏の後にフルートが入るが、8小節単位の大きなフレーズを考えながら、スラーを滑らかに吹くように心がけたい。体で拍子を取るようなことをせずに、ゆったりとした気持ちで。

11小節の memo P から mf に至るクレッシェンドは大切に。15小節目からの下降音形は大きくディミヌエンドをかけて。楽譜を良く見ると、同じようなフレーズが8小節カタマリで3度登場するが、最初はG(mf)、次にA(memo P)、最後がC(pp)となっている。三連譜も急がずにかつ、前の四分音符と八分音符のフレーズに変なアクセントも付かないように気をつけること。

22小節目からの四分音符二つのスラーのかたまりは、比較的はっきりとしゃべる、poco cres. piu cres. を意識して、26小節目から27小節目の高まりに向かってしっかりと盛り上げる。28小節目のピアノ を大事にクレッシェンドをかけて再びフォルテに。ここで Fis-Cisの音だけが大きくならないように気をつける。

30小節目の subito P とは「突然にピアノに」という意味、ここから40小節目まではピアノを維持する。40小節目からクレッシェンドをかけたら、逆にその後はフォルテの強さを維持、音の強さがコロコロ変わらないように注意したい。

59小節目から移調し、Un poco animato とあるように、少しテンポを速めて軽やかに吹く。59と63小節目に現れるE-Cのスラーを綺麗に。64小節目の終わりからは高音域で緊張を維持、68小節目のH2から移調した69小節の頭のG3は一番の聴かせところ。スラーでG3に至るが、先ほどと同じように subito P という感じで。

76小節目から再び最初のテーマにもどるが、87、89小節にあるクレッシェンドをしっかり表現すること。

最後の Piu lento は、スラーの中で柔らかなタンギングで音を表現する。しかし例えば94小節のように3、4拍の四分音符と三連譜はスラーであることに注意。最後は消え入るように。


フォーレ「子守唄 Op.16」

これもフランス系の曲で、原曲はピアノとバイオリンのものらしい。ランパルの名演でも有名だと思う。6/8拍子のこの曲も、リズム感のない私には、どうもぎこちないものになってしまう。さてこれもレッスンの指摘から。

四分音符と八分音符の音型の場合、八分音符が短くなりがち、みっつのきざみをしっかり押さえて。3小節目の頭の八分音符も短くなり過ぎないように。次のスラーのない部分は軽いタンギングで。この曲も4小節でひとつのカタマリであることを意識して、大きなフレーズを感じて吹く。

音はどちらかというと最初は明るめにとること。15小節目からはクレッシェンドしてmfの強さに至ったら、その強さをきちんと19小節目まで維持すること。

24小節目の低音によるfの表現はしっかりと暗めに、しっかりおなかで支えて、28小節目からのpppによる同音型は明るく。

49小節目のアウフタクトから始まるフレーズにおいて、50小節目と52小節目に表れるスラーの中のアクセントはドキッとするような感じで、ピアノの中の動きなので強くなり過ぎないように注意。

83小節目から始まるフレーズは、テーマと同じリズムだが音が少し変わっているので、特に84小節目のG-Es-Gのところなど、軽く遊ぶような感じを出す。88-89小節、90-91小節のクレッシェンドとディミヌエンドをしっかりと表現する。

96、100、104小節目の頭はピアノが和音終わるところ、次に入るところはすこし時間をとって拍の裏から余裕をもって入る、決して急がない。

とにかく小さな拍で曲をとらえると、変なアクセントがついてしまう。大きなフレーズをとらえてゆったりと歌うようにしたい。

こういう曲をセンスよく、さらりと吹くのって、本当に難しい。

体を動かさない練習

吹いていて体や膝を動かしすぎる、体で拍を取るクセがある場合は、フルートの足部管を壁にあてたまま(あるいは壁の入隅に当てて固定したまま)、曲やT&Gを練習してみると良い。

やりにくいと感じるかもしれないが、今までできなかったことが、意外と出来たりするものである。

そう言われたので、家に帰ってからやってみた。すると壁に足部管を固定していることにより、楽器全体が固定されることになるため、楽器がぐらついてしまうような運指が比較的楽に出来ることに気付いた。

例えば中音のCをはさむスケールなどは指も楽器がばたついてしまいアンブシュアが固まらないのだが、この練習をすることで安定した音が得られるのである。いかに楽器(唇とフルートの角度を)を動かさないことが重要か改めて知った次第。

ハーモニクス(倍音)の練習

倍音によるソノリテを練習すると、高音域でのピアニッシモの表現などが非常に楽になる。ハーモニクスで吹いている場合でも、できるだけ雑音が入らないように、そのままいつでも曲が吹けるような気持ちで音を作ること。

特に、私のようにアパチュアが広がりすぎる傾向のある人にはハーモニクスを用いた練習は効果的である。この練習は即効性があるので、試してもらいたい。

実際、数分間ハーモニクスの練習をしただけで、C4が比較的やさしく出せたものである。いつもは、音にならないのだが。

これも、練習のはじめにまずハーモニクスをやってから、ソノリテなりT&Gに取りかかると、高音域、低音域とも音に張りが出ることに気付いた。

アキヤマの14k(No.110)

先日のアキヤマの試奏会でも展示されていた14kの楽器を先生は現在借りているとのこと。今までの金はどうしても気に入らなかったのだが、この楽器は特別、金もきちんと作ると魅力的だとおっしゃる。アキヤマフルートは名器ルイ・ロットを目指して試行錯誤しながら少量生産を行っているメーカーである。

私もアキヤマの14kと先生のいつも使われている初代ロット(No.1850)を少しだけ吹かせていただいたが、凛として芯のある伸びやかな音は吹いていて快感に近いものを感じる。

ちなみに楽器の重量がどのくらいあるのか、料理用の秤で計ってみたところ、以下のような結果となった。


  • ルイ・ロット(No.1850) 約 380g
  • ヘインズ(No.43668) 約 390g ~ 私の楽器
  • アキヤマ 14K (No.110) 約 450g


450gといえば、シルバーでも管厚の厚い楽器程度の重量、一般的な木管よりは軽い重さだろうか。先生の使われているロットは本当に軽いことが分かる。しかしロットは、キーも非常に薄くできている。アキヤマもロットのキーの形を模したティアドロップ型だが、見た目も押さえた感じも厚い。まぐろの刺身とヒラメの刺身くらいの厚さの違いといえば分かりやすいか?(>かえって分かりにくいかも)。楽器の重量は管の重さだけではないため、先の重量を単純に比較はできないかもしれないのだが・・・

アキヤマは私のヘインズと比べても、低音のキーの押さえやすさや音の出しやすさ、それに何と言っても音程の良さが際立っている。製作者の秋山さんが「本家のロットに勝てるのは音程です」と言うだけあって、ロットを使われている先生をしても「こんなに楽なのか」と思うとのこと。非常に魅力的な楽器であることは認めざるを得ないのであった。

アキヤマフルートは、札幌のプロフルーティストでも知名度は低いのではないかと思う。大手楽器店での販売を目指していない楽器であり、好きな人が直接工房に買いに行くという楽器であるだけに、希少価値もあると思う。

私の知人(アマチュア)でも既にアキヤマを所有している方、あるいは注文した方がいる。うらやましくも、良き選択をしたと思うのであったよ。


レッスンを終えて

レッスンを受けていて思うのだが、先生が試しに同じ曲を吹いてくださるが、どうしてそんなに音から表現が出てくるのかと嘆息してしまう。なるほど、そこはそういう風に歌うのか、そこは、そんな風に色を変えるのかと、初めて聴く曲でも、昨日今日練習した曲でもないのだが、新たな発見があるのであった。もっとも、それを直ぐに自分のものとできるほど、私の音楽センスは良くはなく、さらにフルートの運動神経も鋭くはないのであったよ、トホホ・・・。そして、そういう雰囲気を文章にするのは、かなり至難の業であると思うのであった。

それにしても、練習の仕方ひとつとっても、ワンポイントのアドバイスの適切さには恐れ入るのでありました。さて、今年もこれでオシマイです。皆様良いお年をお迎えください。




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