スクロバチェフスキ92歳
高齢にもかかわらず立って、暗譜で、休憩なしでの演奏会
1楽章から3楽章までは悠然たるテンポで鳴らす
都響は弦の厚みもあり、また金管群にもあまり不安はない
情緒的に流れることもなく、正統的なブルックナーを淡々と聴かされると言う感じ
しかし音の重なりや重厚感という点では多少不満も残るか、オケの性能というより響きのイメージ
ワーグナーチューバを使うせいか、ブルックナーからワーグナーにつながる独逸音楽の系譜みたいなものが聴き取れる
4楽章は、多くの人が「意外」と思ったように早く煽るようなテンポ
若々しいと言えば言えなくもないが、92歳である。意表を突かれたとさえ言っていい。
このテンポと今までのギャップは何なのか、若干の乗り切れなさを残しての終焉。
しかしブラボーとスタンディングオーベーションの嵐。
みんなスクロバチェフスキが好きなのだなあ、暖かい拍手。
でも、なんだかブルックナーを聴いたという満足感がない。
独逸の森の空気感も感じ取れなかった。
特にティンパニ。叩いていないわけではないのだが、軽すぎるだろう、そこでその音はないだろう、みたいな。
何かのイメージが刷り込まれているのだろうな。
スクロバチェフスキは何も独逸、ロマン派だけが得意な指揮者ではない。
自ら作曲もするし現代曲も振る。
過度な思い入れやタメも使わない、ある意味、非常に高齢だが現代的かつ合理的な指揮者なのだと思った。