2016年6月5日日曜日

没後40年 髙島野十郎展―光と闇、魂の軌跡 | 目黒区美術館

目黒美術館で開催中の「髙島野十郎展―光と闇、魂の軌跡」に行って来ました。


写実ではありながらも、現代のリアリズム画家とは違って、やはり明治の画風の上での写実。一見泥臭く見える点もなきにしもあらずですが、画家の真摯な眼差しが痛いほどに伝わってくると展覧会でありました。

有名な蝋燭の絵は、それこそ何枚もあり、画家が炎の中に一体何を見ていたのでしょう。

会期は2016年4月9日(土)〜2016年6月5日(日)です。


髙島野十郎(1890-1975)は「孤高の画家」「蠟燭の画家」として、NHK「日曜美術館」でも再三取り上げられるなど、近年多くの人々から注目を集めている洋画家です。
明治23(1890)年、福岡県久留米市に酒造家の四男として生まれた野十郎は、東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業。その後、念願であった画家への道を選び、敢然と歩みだしました。「世の画壇と全く無縁になることが小生の研究と精進です」とする野十郎は、独力で油彩技法の研究を重ね、会派や団体などには所属せず、家庭を持つことさえ望まず、自らの理想とする写実的な絵画を生涯にわたり追求し続けました。
野十郎の超俗的な画業は、生前には広く知られることはありませんでしたが、福岡県立美術館によって「再発見」され、その後は展覧会を重ねるにつれ、単なる再現的描写を超えた生命観あふれる精緻な写実表現、光と闇に込められた高い精神性が、ますます評価されています。
本展の巡回は髙島野十郎没後40年にあたる平成27(2015)年にスタートしました。孤高の画家・髙島野十郎の到達点とも言える「蠟燭」や「月」シリーズ、さらには「すいれんの池」や「からすうり」をはじめとする風景画や静物画など、代表作を数多く含む約140点を、五つの大きなトピックに沿ってご覧いただきます。また、近年新たに発見された作品、これまで紹介されたことのない作品、科学的調査による技法分析結果などもまじえ、人々の心と目を引き付けて止まない髙島野十郎の深遠なる絵画世界の全貌に迫る、「決定版」ともいえる展覧会となっています。



《百合とヴァイオリン》1921~26年頃 目黒区美術館蔵

《けし》1925頃 三鷹市美術ギャラリー蔵


《からすうり》年代不明 個人蔵


《蠟燭》大正期 福岡県立美術館