フランスの若きクラブサン奏者、ジャン・ロンドー(Jean Rondeau)の日本発公演がありましたので行ってきました。曲目はJ.S.バッハのゴールドベルク変奏曲です。
ジャン・ロンドーの演奏を始めて聴いたのはYouTubeでした。驚いたの何なのって。まるでパンクロッカーのようなスタイルで、非常に鮮烈な演奏をします、まさに「鬼才」という呼び方が当たっています。Apple Musicでもいくつか登録されており、そのどれもが素晴らしい演奏で、とても期待して聴きに行きました。
曲はゴールドベルク変奏曲のみ。最初に鳴り始めた音は、聴き慣れたそれではなく、即興のようなアルべジオが、天空から降ってくるかのような響き。そして厳かに最初のアリアが始まりました。これには少なからず衝撃を受けましたね。こういう始め方があるのかと。その自由さと美しさ。
今日のロンドーは、YouTubeほどパンクっぽい恰好でなく、そして演奏も、オーソドックスなものに聴こえました。奇をてらうでもなく淡々と音楽を進めていきます。東京文化会館小ホールにチェンバロン音だけが響くのは、なかなかに快感で、休憩なしの1本勝負。ゴールドベルクにうるさい人であれば、いろいろ言いたいこともあるでしょうが、自分的には、ただただ満足でありました。演奏が終わった後の、拍手が起こるまでの間も、若きチェンバリストの初来日に対する賞賛であったと思います。
アンコールはF.クープランの「神秘のバリケード」。これも良く聞く曲ですが、バッハよりも流れが優美で鮮やか、素晴らしい!。続いてのロワイエの「スキタイ人の行進」は、更に鮮烈に弾けます。ああ、確かに若い世代のチェンバリストだなと思わせる2曲。
実は、バッハの後にあって、このアンコールは、なくても良かったかなと思いましたけど、これもご愛嬌でしょうか。また聴いてみたいと思わせる演奏者ではありました。
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演奏会も満足でしたけど、それよりも驚いたのが、今回主催のアレグロ・ミュージックが、2018年にカウンター・テナー歌手のフランコ・ファジョーリの演奏会を企画していることのこと、来たかいがありました。人間、長生きするもんです(笑)