ベルマンの演奏は、ロシアン・ピアニズムの継承者などと称されています。「ロシア・ピアニズム」という本もありましたが、では一体にその本質は何かといったら、私のようなトーシローには漠たるイメージしかありません。
ロシアン・ピアニズムとは何かという点についてのネット上の知識といえば、「おかか1968」ダイアリーで2006年から不定期連載された『【不定期連載】全く役に立たないロシアピアニズム・ガイド*1)』が一番詳しいのかなァなどと思いながら、ラザール・ベルマンが弾くベートーベンのピアノ・ソナタ第8番を聴いたりしています。(ブラームスのカップリングだったから)
ベルマンのベートーベンはあまり俎上にのぼらないようですが、この演奏も清冽なテンションがピンと張り詰めた好演であると思います。第一楽章は激烈な音楽でさえありますが、ゆるぎないテクニックとそれをベースにしたドライブ感に、冷ややかさと計算を感じます。第二楽章のカンタービレも甘すぎない。第三楽章冒頭のフレーズの出だしはあまりに美しく、乾いた冷たい粉雪がサッとばかりに舞うかのよう。だんだんとそれが吹雪になっていき、最後の打鍵はダンッとばかりに強烈。カーネギーの割れんばかりの拍手にも納得。続けて4度も聴いてしまった・・・。
ベルマンといえば、リストとかラフマニノフとかチャイコフスキーのバリバリな演奏が有名なようです。実は全く未聴なそれらの演奏も、聴いてみたいと思わせるのでした。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
ラザール・ベルマン(p) ラインスドルフ(cond) シカゴ響 1979
ベートーベン:ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」
ラザール・ベルマン(p) 1979 カーネギー・ホール・ライブ
SICC 824
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- 参照URL→http://okaka1968.cocolog-nifty.com/1968/2006/08/post_c30c.html
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