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2004年9月14日火曜日

ラウタヴァーラ:前奏曲集Op.7、パルティータOp.34

激しい「現代的」な音楽は刺激的ですが、何となくだるく、やる気のないときに聴くと、妙に癒されたりすることに気付きました。体の中の悪いものを浄化していくような・・・そうなんです、なんだかダルいんですよね。


ということで、しつこくもラウタヴァーラです。

前奏曲集 Op.7

7曲からなる前奏曲集で、ラウタヴァーラがタングルウッドでコープランドに学んでいたときに作曲されたものです。ライナーによるとラウタヴァーラはこの前奏曲集をコープランドに決して見せなかったそうですが、それについては彼自身以下のように書いています。

I never showed him the Preludes, which were a sort of protest or outbutst against the so-called neo-classical confines under which I had to labour while studying both in Helsinki and in the United State.
1956年の作ですから、彼が28歳の若さの時の作品となります。上記のように、かなり革新的といいますか、いわゆる「現代音楽」的な音楽を堪能することができます。響きは硬質で力強く、時に繊細であり、強烈な感情の奔流を感じます。しかしその奔流は実験風でもあり、またひどくぶっきらぼうでもあります。

特に《軽快で槌を打つように》と題された一曲目の迫力はすさまじく、たかだか32秒の間に強烈な石つぶての雨を降らされたような曲です。《フィナーレ風》も冒頭と同様に激しい曲で、その間に挟まれた5曲が夢幻的にして鉱物的な静けさを構築しています。「現代音楽」という程には前衛的とは言えないかもしれませんが、激しさと静けさを内包したラウタヴァーラ的な音響世界が広がっています。

neo-classical すなわち「新古典主義」の音楽を彼がどのように消化しようとしていたのかは、この曲だけからは分かりませんが、何か彼なりの模索を感じることのできる小品であると思えます。

パルティータ Op.34

最初のスケッチは1956年ニューヨークで描き、2年後にピアノ曲として作品にしたものです。当時一緒に仕事をしていたギタリストの影響を受けて作曲したとのことで、2曲目ではギター風の「ポロン、ポロン」とした伴奏の響きを聴くことができます。両端の激しい曲にはさまれた非常に静かなこの部分では、静寂さの中に幽玄とした翳が立ち上るかのようです

これも3分半と非常に短い曲で、ボーっと聴いているとあっという間に終わってしまいますが、よく聴くと3曲とも同じテーマの変奏になっており、緩急のヴァリエーションを楽しむことができます。

激しさと静けさの交替、そしてその落差の大きさというのは、ラウタヴァーラ的な音楽のありように思えますが、これはフィンランドという地方の気候風土の激しさから来るものなのでしょうか。激しさは時に無機的であり、人智の及ばない深遠さを感じさせますし、静けさは限りなき安らかさときらめきにも似た美しさを感じます。

そういう意味では、非常に興味の尽きない作曲家ですが、一方では、曲のテーマや副題ほどには精神の底に潜ってゆくような深さや晦渋さやはあまりなく、激しいけれどもどこか皮相的に感じる瞬間がないでもありません。「皮相的」とはネガティブな表現ですが、積極的に「皮相的」であってもよいのではないかと・・・いう気もします。

●前奏曲集 Op.7
軽快に槌で打つように
充分ゆっくりと
リズムを保ちながらも神経質に
コラールと変奏
フガート
震えて
フィナーレふうに

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