アルフレッド・コルトー/ショパン:練習曲集ほか
- 練習曲集 作品10 1933年7月 ロンドン
- 練習曲集 作品25 1934年6月 ロンドン
- ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調1926年12月
- ハンガリー狂詩曲 第11番 イ短調1926年12月
- PHILIPS PHCP-20585/6
現代においてショパン弾きといわれる優れたピアニストが多いのに、今更SP時代の古色蒼然としたコルトーのミスタッチばかりのショパンを聴く必要があるのだろうか、などということは考えない。私はあまりショパンが好きではありませんし、そもそも、どこでミスタッチしているかなんて、分かっていないのですから。それでも何気にコルトーの盤を聴き始めたら止められずに何度か聴いてしまいました。
コルトーのピアニズムから漂う気品と素朴な暖かさ、あるいは言い方は悪いかもしれませんが、泥臭さというのでしょうか。これらは洗練の極みとは対象的ですが、浸りきると非常に心地よいものです。ショパンというと聴いていてどこか疲れてしまい、ついおなかがいっぱいになってしまうのですが、彼の演奏はやさしく滋養となって体にしみ込んでくるようです。演奏の技術的なものを補うような、ある種の雰囲気をもった演奏といえるでしょうか。現代では決して聴くことの出来ない演奏かもしれません。
例えば作品10 第6番とか作品25 第1番など、絶品の味わいです。また作品10 第12番《革命》の力強さときたらどうでしょう。無骨過ぎるきらいはあるかもしれませんが、それはそれです。
無骨といえばリストのハンガリー狂詩曲などかなりのもの、演奏も1926年のものになってしまいますからノイズもひどくなってくるのですが、それでも聴けないほどではありません。しかしそういう中にも、非常に繊細な一面も聴けたりして、そこに詩情を感じたりします。
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