昨年12月8日に発表されたIBM PC事業の中国聯想集団への売却、および1月3日の日経新聞で報道されていた日立製作所の「パソコン利用全廃・専用端末で情報漏洩防止」という記事は、ポストPCというようなものを予感させるものがあります。
DELLを思い出すまでもなく、PCはもはやコモディティ化してしまいましたが、それでも事業を続けて利益を得る、あるいは差別化や優位性を維持し続けるには、低コストの追求による薄利多売か付加価値の高いサービスにて稼ぐかの選択しかないわけです。
IBMはPC事業からの撤退は、事業を継続しても負債を重ねるだけだと判断した結果でしょうが、IBMはもしかすると、もっと付加価値の高い新しいアーキテクチュアの登場を見据えているのかもしれません。
そんな中で目にした日立製作所のPC全廃の記事。目的は個人が会社の情報を漏洩することの防止策であるとのことですが、企業はよりセキュリティが高く効率の良いシステムへ移行してゆくことの先駆けであるように思えます。
思い起こせば、80年代後半からMS-Windowsの発売に伴い爆発的にPCが普及し、90年代後半にInternetの普及により、ネットワークの構築がビジネスモデルまでも激変させてきましたが、IT産業においてもひとつの時代が変わりつつあるのでしょうか。
このような変革の激しい時代において、企業の生き残り戦略は熾烈を極めているようで、1月4日の日経新聞では、船井電機の戦略が掲載されており、なるほどと思った次第。いわく、デジタル家電などの最先端技術は投資も多い反面、技術が日進月歩であるため利益も見込めない。それよりは、比較的安定した製品においてコストダウンを図り、多量に売る。これはこれで見事かなと。
日立、社内業務でパソコン利用全廃・専用端末で情報漏えい防止
日立製作所グループは社員が業務で利用するパソコン約30万台を全廃し、情報漏えい防止型のネットワーク端末に切り替える。新端末は内部に情報を一切保存できず、盗み出されても顧客情報や製品開発情報などが流出する危険がない。機密情報の流出防止が企業共通の課題に浮上するなか、パソコンメーカーでもある日立のパソコン全廃は、企業の情報システムのあり方を大きく変えそうだ。
企業への罰則を含めた個人情報保護法の全面施行を4月に控え、国内企業は情報流出防止を強化している。従業員による情報の不正持ち出しやパソコンの紛失・盗難への懸念は強く、日立は新型端末の外販にも早期に踏み切る計画。(日経新聞Web版 1月3日07:00
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