- カルロ・マリア・ジュリアーニ(cond)、バイエルン放送交響楽団
- 1993年 ミュンヘン
- SICC-269 SONY CLASSICAL
テンシュテットの《グレイト》の感想のコメントで、syuzoさんに「リファレンス盤は何か?」と問われ、ふと考えてみると、私の場合、音盤のレビュを書くのに当たって比較対照となる演奏をあまり意識していないことに気付きました。比較もなしにレビュを書けるのかと、しばらく自問し、何たる雑で無責任な文章を垂れ流している事かと恥じ入る思いです(><;;;
ただ《グレイト》を書こうと思ったきっかけを敢えて挙げるとするならばジュリーニ&バイエルン盤を聴いて素直に感動したからということになるでしょうか。20GBのiPodにはラトル&ベルリンとジュリーニ&バイエルンの演奏が入っていますが、聴くのはもっぱらジュリーニの演奏ばかりなのです。
《グレイト》なんて長いだけで単調で冗長という印象が強く、よほど楽天的な気持ちにでもならない限り聴きたいと思う曲ではないと思っていました。でも80歳目前であったジュリーニがバイエルン放送交響楽団に録音した本盤(ライブ)を聴いたときには、その余りにも堂々とした演奏に、そして横綱相撲振りに全くすっかり参ってしまったのです。
ジュリーニの演奏にはシカゴとの録音もあるのですが、こちらは未聴。ですから、この録音だけでジュリーニの芸風を述べることはまたしても危険であるとは思うものの、悠々たるテンポ感、朗々と唄われるメロディ、深い弦の響きなどなど、どこを取っても素晴らしい演奏だと思います。こけおどしなど全くなく、音楽をまっとうする姿。永遠に続くと思われる終楽章は、まさに至福と歓喜の時間です。
テンポがちょっと遅すぎて弛緩していると感じられたり、今となってはいささか古臭いと感じられるスタイルと思われるところもありましょうが、こういう幸せな一時代を象徴しているかのような演奏を限りなくいとおしく思います。素直に癒される思いがします。
でもシカゴ響との演奏もそのうち聴いてみます聴いてみました、ハイ。 ちなみにCD解説は宇野功芳氏が書かれていました。
(何たる雑駁たる感想!!)