- 第7番 ニ短調
- 第8番 ホ短調
- 第9番 イ長調
- 第10番 ヘ長調
- 第11番 ホ長調
- 第12番 ニ短調《ラ・フォリア》
- 寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン)、シーべ・ヘンストラ(チェンバロ/オルガン)、ルシア・スヴァルツ(バロック・チェロ)
- 録音:1994年8月 オランダ、デン・ハーグ、旧カトリック教会
DENONのCREST1000シリーズから発売されている寺神戸亮氏によるコレッリのヴァイオリンソナタ集を聴いてみました。
コレッリ(1653-1703)はバロック・ヴァイオリンの象徴とも言うべき存在なんだそうです。 CD解説によるとコレッリは宗教作品や声楽曲(オペラを含む)を全く残さなかったそうで、しかも名声に比して残された作品数が僅少なのであるそうです。というのもコレッリの遺言で未出版の作品のほとんどを破棄させたからで、それだけに現存する作品は厳選されたものであるとのこと。
この盤ではコレッリのヴァイオリン・ソナタ集5番のうち後半の6曲が納めているのですが、果たして聴いてみますと、一聴するだけでコレッリの魅力に取り付かれてしまいます、いやコレッリの魅力なのか寺神戸氏のヴァイオリンの魅力なのか、実はそれは判然とはしないのですが。
短調の翳りと明るさとが微妙な具合にブレンドされた曲調、長調の軽ろやかで優雅な曲調など、どれも好ましいもので、様々な心象情景が浮かんでは消えていきます。技巧を凝らしたブイブイ言わせる曲ではないかもしれませんが、休日の午前などに珈琲でも飲みながら聴いていると、それだけで気分が癒されてきます。とは言いましても、ベタなヒーリング曲では全くなく緩急の楽章の繰り返しは変化に満ちていて刺激的でもあります。
しかし何と言ってもこの盤の中では《ラ・フォリア》が聴きどころでしょうか。フォリアとはスペインの古い舞曲を起源とする曲で、本来は狂気を意味する言葉あったようです。この曲もイベリア半島起源とされる古い舞曲の16小節の主題を元に、23の変奏が繰り広げられていくというものです。哀愁を帯びた旋律が、ヴァイオリンの技巧を駆使して変化してゆくさまは、単純であるが故に聴き進むにつれ得も言われぬ凄みを帯びてきます。この1曲を聴くだけでもこのCDの価値はあるかもしれません。
詳しい解説はネット上にあるので興味のある方は読んでください。ほとんどCDライナー引き写しの文章を読むことができますので便利です。
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