先に寺神戸さんのヴァイオリンによるビーバーの曲を紹介しましたが、この盤の最後に納められている「描写的なヴァイオリン・ソナタ イ長調」という曲も秀逸です。このソナタは、様々な動物の鳴き声を描写した曲で、「ナイチンゲール(Nachtigal)」「かっこう(Cu Cu)」「蛙(Fresch)」「雌鶏(Die Henn)」「雄鶏(Der Hann)」「うずら(Die Wachtel)」「猫(Die Katz)」それになぜか「小銃兵の戦い(Musquetir Mars)」が加わり、アルマンド(Allemande)で終わる11分半ほどの短く明るい曲です。
この曲について寺神戸さんは、以下のように述べています。
��シュメルツァーやヴァルターなどの)流れの中で一番"動物園的"な曲がこのビーバーのソナタで、最も写実的な1曲です。面白いのは、そうした描写的な曲とその間にはさまれる「純音楽的」な曲との落差で、それがあまりにも激しいことです。まるで現代曲のようなそのコントラストは、やはりとてもバロック的だと思います。
寺神戸さんは作品としては凄く素晴らしいとは思え
ないと言っていますが、非常に純度の高い音楽になっていると思います。彼の宗教曲が一方で宗教的な面を追及すればするほどに、音楽的に純度が高まり別の次元に到達しているように感ずるのですが、この曲も極めて描写的でありながらも、それとは対極の境地を獲得しつつあるように思えます。
さらに、これら9種類の描写をヴァイオリン1本で表現しつくしている点も凄いものです。技巧的な奏法を駆使し多様な音色の使い分けての表現は、まさにヴァイオリンの持つ可能性を、軽やかに遊びながら追求しているようでさえあり、当時のヴァイオリンの名手ビーバーならではといったところです。
この「遊びながら」と思えるところが、いかにも洒脱であり、一方でビーバーの諧謔さえ感じるというのは書きすぎでしょうかね。ビーバーなど、この1枚しか聴いたことないですから。
[補足]
"ビーバー 描写的"で検索かけたらclassicaの「無人島の一枚」のページに漂着。寺神戸さんの盤ではないものの、ビーバーを選ぶ人が居るんだなと感心したら、何とその下にk-tanakaさん!!のオススメの1枚が(ハイドン:弦楽四重奏曲 作品76の1-3)恐るべしclassica、つーか、k-tanakaさんつーか・・・デジタルつーかー、つーか・・・>もうないって
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