目白バ・ロック音楽祭が昨日から始まりました。聖母病院チャペルのチェンバロ・リサイタル*1)にも食指が動いたのですが、やっぱりオケが聴きたいなあという気になって、東京芸術劇場で東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ(TBMO)の演奏会に行ってきました。
- 東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ演奏会vol.2 What's MOZART
- 「魔笛」序曲 K.620
- クラリネット協奏曲イ長調 K.622
- 交響曲第39番変ホ長調 K.543
- 2007年6月2日(土)19:15 東京芸術劇場
- 指揮:有田正広 東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ(ピリオド楽器使用)
- バセット・クラリネット:エレック・ホープリッチ
TBMOは、1989年に結成された日本初のピリオド楽器によるオーケストラ。10年間の休止期間を経て昨年6月、モーツァルトのフルートと管弦楽のための作品を演奏するために再結成され、その演奏会が絶賛されたことは、知る人なら知っているでしょう*2)。
さて、そんな期待に満ちたオケによるオール・モーツァルト・プログラムの最初は「魔笛」序曲。冒頭の和音からして、ビンと張り詰めた響き。これを聴いただけで、オケのアンサンブル精度と技巧を感じ取ることができました。
演奏に余計な贅肉はなく、かといって厳格すぎるわけではなく、エキセントリックとか過度のシャープさとも離れたところにある。それでいて研ぎ澄まされた技巧は冴えており、響きはクリアで透明、あたかも吟醸酒のような趣。
この演奏スタイルは有田氏の音楽に対する真摯なアプローチの賜物なのでしょうか、聞いていて素直に心地よいです。それが逆に欠点といいましょうか、モーツァルトの心の底から沸き起こるような愉悦を感じることは少ない。
クラリネット協奏曲を演奏するホープリッチは、ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラの首席奏者にして知る人ぞ知るクラリネット・ヲタク*3)。今日も彼自らが復元したらしいバセット・クラリネットを用いての演奏。芸術劇場の広い空間ではソロ・クラリネットの音色は2階席まで朗々と響き渡るといったものではない。特にオケとの合奏になる技巧的な中音域のパッセージは聴き取りづらい。しかし、それであっても、彼のまろやかにして独特の音色は極めて印象的。「クラリネット臭さ」がない、と書いても分からないか。非常にキモチの良くなる演奏で、これはブラボー。
最後の交響曲第39番は、再び「魔笛」と同じような印象。オケはテンポラリーな団体だとはいえ、ウマいです。しかし、私の好きなウキウキするようなメヌエット、そして終楽章のアレグレットは、なかなかドライブしてこず、有田氏はしっかりと着実に演奏します。誠実ではありながらも、はやりモーツァルトの何かが失われてはいまいかと、演奏終了後に考えてしまいました*4)。
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- こちらを読むと(→#Credo http://blog.livedoor.jp/credo5026/archives/50843939.html)、やっぱりチェンバロにしておけば良かったか、なんて・・・思ったりしています。
- 私は知りませんでした(^^;
- 私は知りませんでした(^^;;
- 正直に書きますと、私は今日はとても、とても疲れておりました。睡眠不足と精神的な疲労、加えて肉体的な疲労と軽い内蔵系の病から回復したばかりであり、満足に演奏を満喫するという体調になかったことは告白しておきます。モーツァルト音楽に何を求めるかは、ごく個人的な偏見に所以した要求でしかないと思っています。
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