2002年7月1日月曜日

【高木綾子を聴く】


彼女のフルートの魅力を何と表現したらよいだろう。「女性とは思えない独特の芯の強い音」という言葉を使うことには抵抗がある。女性だから繊細でか弱い音しか出せないというわけではないからだ。そうは思うのだが、彼女の吹く姿からは、やっぱりあの音はなかなか想像しにくい。

彼女の使う楽器はヘルムート・ハンミッヒ。この笛がお気に入りで、自分の音楽を表現するにはこれしかないとまで言う。しかしこのハンミッヒ、知り合いのフルーティストの話では管厚が薄いらしい。というのも、この楽器が製造された時期は銀が不足しており、8本分の銀で9本の楽器を作らざるを得なかためらしい。

楽器の良し悪しは私にはよく分からないが、それにしても彼女の音は独特だ。「Air Bleu」の最初の曲、「スペインのフォリア」を聴いた時は本当にびっくりしてしまった。日本音楽コンクールの録画も見たが、モーツアルトの協奏曲のカデンツァなどは圧巻であったと思う。

彼女は、エマニュエル・パユのもとに留学を試みようとしていたようだが、パユがもう生徒をとらずないこと、またベルリン・フィルに復帰してしまったことにより(何と自分の辞めた席を、再度入団試験を受けて舞い戻ったらしい)、彼女の希望は今のところ叶えられそうもない。しかし、これからの活躍が期待できる演奏家であると思うのだ。 (2002年)


演奏会の感想

音盤の感想

所有していて、まだレビュを書いていない盤もあります m(_ _)m

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