カール・オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」
- シルヴィア・グリーンバーグ(S) ジェイムズ・ボウマン(C-T) スティーヴン・ロバーツ(Br)
- ベルリン国立大聖堂合唱団、ベルリン放送交響合唱団
- リッカルド・シャイー指揮 ベルリン放送交響楽団
- 1983年6日、Jesus Christus-Kirche,Berlin、LONDON名盤1200 POCL-9982
ラトルのカルミナを聴いて以来、頭の中でカルミナの強烈なリズムやら白鳥の歌が、グルグルと回転運動を続けています。おかげで風邪で寝込んだ3連休は、音楽を聴かずとも、カルミナ節を反復することで退屈することなく過ごすことができました(嘘)
この盤は、ロンドンの名盤1200の中のひとつ、リッカルド・シャイーが29歳の時の録音。シャープさとクールさ、それでいて美しい歌心にも満ちている演奏です。
冒頭の"O Fortuna"は何の躊躇いもなく、音楽を炸裂させて開始しているところの鮮やかさ。乾いたティンパニの音と弾け飛ぶシンバルの響き、それに続くふわふわと刻まれるリズムは、美しさと力強さを併せ持っています。
土俗的なエネルギーという雰囲気もあまり強くはない、また、シャイーがイタリア人だからなんでしょうか、どこそこに明るさが漂っていて、この曲に特徴的なドイツ的田舎臭さ(?)と私が勝手に思っている雰囲気は希薄です。それはそれで悪くはないですが。
"Oim lacus colueram (昔は湖に住まっていた)"を歌うのは1941年生まれ、イギリス型の典型的なカウンター・テノールのジェイムズ・ボウマン。彼の歌によって異様な音楽が更にグロテスクに歪んでおります。バリトンのスティーヴン・ロバーツもソプラノのシルヴィア・グリーンバーグも、良い声で歌ってくれています。ソプラノ独唱の"In trutina (天秤棒を心にかけて)"など何度も聴いてしまいますが、どこか"ディズニー的"と思うのは彼女がアメリカ人という先入観?
全体によくまとまっていてますが、カルミナが持つ原始的な本能を呼び覚ますようなザワザワ感がもう少し欲しいというのは贅沢でしょうか。
こちらはティーレマンのカルミナ・ブラーナ
そのうち、ゆっくり聴いてみます。
「器楽と魔術的映像を伴う独唱者と合唱のための世俗的歌曲」というサブタイトルのついている「カルミナ・ブラーナ」は、本来踊りを伴った舞台形式の作品として書かれたもの。オルフの構想した「カルミナ・ブラーナ」を求めて活動して10年、私たちO.F.C.は年末にオルフの劇的三部作を一挙上演致します。是非、舞台をご覧頂き、「カルミナ・ブラーナ」の世界を堪能してください。
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