今尚変貌を遂げつつある東京という都市をゆっくりと歩いてみると、多くの起伏に富んだ地形であることとともに、江戸時代のかすかな名残を見つけることができ、ときどきはっとする思いにとらわれます。
本書は江戸末期に刊行された尾張屋清七板の切絵図(江戸の敷地割図)をベースとして、現代の東京の成り立ちを概観しています。ただ「江戸の古地図で歩く」と題している割には、古地図と現代の地図の詳細な比較という点では物足りなさが残ります。文庫本という制約のせいか、古地図も小さくて見にくい。不満な人は別冊の「切絵図・現代図で歩く 江戸東京散歩」を購入せよということか。
総花的ではありますが、江戸と東京の関係を読み直すと言う点では、良きガイドブック(入門書)にはなってると思います。
それにしても、1657年(明暦三年)の明暦の大火、いわゆる振袖火事が江戸に与えた影響は本当に大きかったようですね。明暦の大火前と後の都市構造の違いなどを思い馳せながら、古の江戸の姿を想像するのは楽しいものです。本書を読んで、閑があれば、またどこかターゲットを決めてウロウロしてみたい気になりました。
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