荘村清志/武満徹へのオマージュ
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アルバム2番目に納められている6つのギター曲は、ラスト・ワルツを除き《ギターのための12の歌》(1974/77)からとられたものです。どれもが耳に聴きなじみのあるスタンダードソング。しかし武満さんの編曲にかかってしまうと、美しいメロディがひときわ引き立ちます。それでいて音楽が決して前に出てきて主張することはありません。静かに間や余韻を楽しむかのように、音楽は響き渡ります。
ビートルズ・ナンバーも良いですが、この6曲の中では賛美歌としても親しまれている《What a Friend》がとてもいいカンジ。曲については解説することさえ野暮と思えるほど。そっとした囁きや優しさに満ち溢れていて、ほんとうに思わず何度繰り返して聴いてしまいます。
武満さんが、一流のメロディーメーカーであったことはよく知られいまが、カラオケのようなものは嫌いであったとか。それでいながら、意外にも演歌とか流行歌には驚くほど詳しくて、散歩しながら口ずさむこともあったとか、何かで読んだことがあります。
私はギターという楽器が好きです。そして、自分のよろこびのためにこの「12の歌」を編曲したのです
と語る一方で、ギタリストたちの固定した風景にもうひとつの窓から別の風景を開きたいと考えた
と武満さんは語っています。本当に、心から「音楽」が好きな方だったのだなと、改めて思います。
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