ラ・フォンテヴェルデ(La Fonteverde)第27回定期演奏会に行ってきました。モンテヴェルディのマドリガーレ集全曲演奏シリーズの最終章、足かけ6年にもわたる演奏会も、今回をもって全曲演奏を完結するとのこと。
- 皆は、愛の神について歌うがいい 第8巻
Altri canti d'Amor - 芳しい唇よ、なんという甘さなのだ 第7巻
Con che soavita,labbra odorate - 恋する者はみな戦士 第8巻
Ogni amante e guerrier - この楡、この木蔭、この泉に 第7巻
A quest'olmo, a quest'ombre, ed a quest'onde - ソナタ11盤「梁箱」サラモーネ・ロッシ(ca.1570-1630)
- タンクレーディとクロリンダの戦い 第8巻
Combattimento di Tancredi e Clorinda - バッロ:ティルシとクローリ 第7巻
Ballo : Tirsi e Clori
最終章というだけあり、内容的に非常に充実した演奏会でした。特に後半の「タンクレーディとクロリンダの戦い」が圧巻。タンクレーディとクロリンダが敵同士でありながら恋仲となり、歌は暗闇の中でお互いが誰かも分からぬ中で戦ってしまうという悲劇を描いたものです。劇的な内容に加え、音楽もモンテヴェルディらしからぬというほどの激しさ。伴奏は二人の激しい戦いと心の葛藤を描いているかのようで、ぶつかり合い震えます。まるで現前で二人が戦っているのが目に見えるような演奏でした。それ故に、最後の結末とクロリンダの歌声が哀れにして美しく感涙を誘います。モンテヴェルディもこんな曲を書いていたのかと、改めて思いました。
最後のバッロは一転して明るく華やか。バロック・ダンサーの市瀬陽子さんとセーヌ・エ・サロンのメンバーが演奏に華を添えてくれました。「Balliamo,che l'onde(踊ろうよ)」の歌声とともに、ニンフのような女性たちが踊る様は祝福に満ち溢れ、この演奏会そのものを祝福しているかのようでした。
ラ・フォンテヴェルデの演奏会を聴いたのは今年4月にあった第26回と今回が二度目でしたが、もっと前から続けて聴いておけばよかったと惜しむ思いで会場を後にしました。