2018年12月17日月曜日

2018/12/16 オオタスセリ☆台本劇場 小劇場「楽園」

下北沢小劇場「楽園」にて開催された『オオタスセリ☆台本劇場17』 に行ってきました。オオタスセリさんのひとりコントを聴くのは二度目。

本日は、スセリさん台本のコントを、三人の女優さんが演じるというもの。舞台横に台本家であり演出家であり、さらに演者であるスセリさんが見守る中でのコントです。スセリさんの突込みも鋭く、三者三様のコントを楽しむことができました。
「アンコール劇場」14:00/18:00 
出演:くじら 渡辺菜生子 金月真美 オオタスセリ
*各人長めのひとりコント。
唯一無二の存在感・くじらは「番場道子のOL日記・待ち合わせ」。
渡辺菜生子はかわいらしい声と風貌からは予想もつかない「善人のススメ」。
金月真美はお気に入りの『マチルダ」を生き生きと。
そして3人コントとオオタのコント。
もちろん、スセリさん自身のコントと歌もあります。オープニングの不幸な女性に始まり、番場道子のラジオ体操、定番の「骨董屋」など安定感のある面白さです。始終、笑いの中にもスセリさんのダークでディープな世界に当てられっぱなしでした。

お笑いを解説するくらい野暮なことはないと思うものの、スセリさんの笑いには、全て毒が含まれています。それも痛いまでの自虐と他者に対する容赦のない突込みみたいな。でも、そこにはシニカルさやクールさはなくて、ダメな人間やおバカな行いをする者たちへの共感と愛が秘められているように思えます。

だいたいにおいて、「私は歌もギターも下手なんですよね。聴いて気持ち悪くなる歌と、嫌な気分になる歌のどちらがいいですか?」なんて観客に問いかけて、「キッチンドランカー」なんて救いのない歌を歌い、「みなさん、嫌な気分になったら本望です」みたいなこと言うのですから、普通なら本当に嫌になります。この歌の前に歌われた「負け犬」や有名な「ストーカーと呼ばないで」も救いない歌です、ホント。

だから始めて観る人の中には、本当に怒っちゃうくらい真面目な人もいるかもしれません。そういう人たちはリピートしないでしょうね。スセリさん本人も、どこかで8割はリピートしないと言っていたように覚えています。

この毒に満ち溢れたコントも、小劇場という空間だから許容されるのでしょうか。下北沢の小劇場に来たのは実に30年振りなんですが(笑)、駅前の再開発のカオスには巻き込まれず、平成も終わろうとしているのに、あいかわらず小劇場は昭和の時代を生きているように思えました。

最後は三人コントでの締めですが、「唐揚げ~」で客席全員が盛り上がって歌うのには、ちょっとというかかなりびっくり。方向性は全く違いますが、11月のオペラシティでのファジョーリ公演でのアンコール客席半数歌いを思い出し、世の中にはディープな方々があちこちにいらっしゃるのだという思いを、師走も深まった夕方に思うのでありました。