2026年2月15日日曜日

諏訪敦 | きみはうつくしい 最新作品集(公式図録)を観てのファースト・インプレッション

日本の写実画家、諏訪敦さんの個展が3月1日までの会期で開かれています。

個展と同時に発売された図録を先に入手し眺めています。



これはそのファースト・インプレッションです。

図録を観ると諏訪さんのリアリズムは、リアリズム絵画の極北まで行ってしまったという感を覚えました。

現代の写実=リアリズムは、技法とか描写においてもはや写真と変わらない、あるいは写真を軽々と超えるようなリアルまでをも画家たちは描出しています。

それ故に、写実とは何か、何を表現しているのか、画家さんたちは、またそれを観る者にも、それは写真と何が違うのかと問われることになります。それが画風であったり個性なのですけれども、それって何みたいな。

諏訪さんの画風は、テーマからしても他の現代の写実画家たちとは一線を画しています。

最近の《汀にて》の作風を観るにつけ、とことんまで突き詰められた作品造りに対する拘りや、対象を二次元や三次元に定着させる技法は、対象を因数分解的に解体し、再び再構築しているものの、実態としてはこの世は無であるかのような虚無感といいますか、生というものの一瞬性、儚さを表しているように感じます。再構築されているのにすぐにバラバラに展開されているかのような、そんな錯覚してさえ覚えます。

人の死という静的なものを対象として捉えキャンパスに留める、しかし留めたはずのものも、そこに留まることは許されずに、次の瞬間には何ものかに変化してしまっているかのようで、常に死と再生が繰り返されている。また、この世に生を受けているということが、その他者との関係性において成立しているという事実もまた、そこにあるということ。

諏訪さんは冷徹なまでに対象を見据えつつ、一方で科学者のように突き放した目線も持ちながら、しかし最後のところは回帰的に生や人間を愛おしむようなものになっており、それがそのまま観るものに問いかけているかのようです。

図録を観ただけで、全く特異な画風であり、鳥肌ものです、実際に実物を観るとどう感じるのか。

美とは何なのか、うつくしい とはどう言うことなのか。

何とか時間を取って会場に行きたいと思っています。

図録といいますか、作品集の出来も極めて素晴らしく、諏訪さんの絵に興味のある方々には、是非とも手にとってもらいたいと思います。


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