2022年1月29日土曜日

映画「テレビで会えない芸人」 

鹿児島テレビ放送が作った、松元ヒロさんを題材としたドキュメンタリー映画「テレビに会えない芸人」の東京での封切り上映を観てきました。

ポレポレ東中野という小さな映画館ですから、封切り初日ではすでに完売でした。事前予約することで12時の回を見ることができました。



まずは映画の公式ページのイントロダクションを以下に貼っておきます。

テレビで会えない芸人—
その生き方と笑いの哲学から、いまの世の中を覗いてみる。
モノ言えぬ社会の素顔が浮かび上がる

芸人、松元ヒロ。かつて社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で数々の番組に出演し人気を博した。しかし90年代末、彼はテレビを棄て、主戦場を舞台に移す。政治や社会問題をネタに笑いで一言モノ申す。ライブ会場は連日満席、チケットは入手困難。痛快な風刺に、会場がどっと笑いで包まれる。しかしそれだけではない。松元ヒロの芸には、不思議なやさしさがある—

松元が20年以上語り続ける『憲法くん』は、日本国憲法を人間に見立てた演目。井上ひさしが大絶賛し、永六輔は「ヒロくん、9条を頼む」と言い遺した。その芸は、あの立川談志をしてこう言わしめた。「最近のテレビはサラリーマン芸人ばかり。本当に言いたいことを言わない。松元ヒロは本当の芸人」。けれど、いや、だからこそ、いまテレビで彼の姿を見ることはない…。

そんな今日のメディア状況に強い危機感を募らせていたのは、松元の故郷鹿児島のローカルテレビ局。2019年の春から松元ヒロの芸とその舞台裏にカメラが張りついた。監督は鹿児島テレビの四元良隆と牧祐樹。プロデュースを手掛けたのは『ヤクザと憲法』『さよならテレビ』などの衝撃作を世に送り出してきた東海テレビの阿武野勝彦。なぜ松元ヒロはテレビから去ったのか? なぜテレビは松元ヒロを手放したのか? そして本作はその答えを見つけられたのか?

松元ヒロさんは、元々はテレビで活躍する芸人さんでした。しかし松元さんの芸は、権力や現政権に対する批判、徹底した護憲を題材としていることもってか、次第に「テレビに合わない」「テレビでは放送できない内容」などとして敬遠され、今では舞台でしか会うことがでなくなった、というわけです。

かつて松元さんは立川談志に「人の言えないことを言えるのが芸人だ、お前は本当の芸人だ」と言われ、自分の道筋を決めたそうです。

そういう松元さんの芸を見た今回の監督の四元良隆さん、牧祐樹さんらが「なんかおかしいよね」と思い、作ったのが本映画ということです。

監督の談によると「松本さんを主人公とした映画にしたくはなかった。自分たちがいるマスコミのおかしさに対する批判として造った」というような主旨を語っていました。

監督のひとり四元良隆さんのメッセージも引用しておきます。

「不寛容な時代」と言われている。異質なモノ(意見)を攻撃し、排除する風潮。この社会を反映するかのように、私たちのテレビの世界にもその波は押し寄せている。少しでも世の中と合わない意見や表現方法をすればすぐにバッシングに晒され、取り除かれていく…。いつしか、「批判されないこと」が最優先になり、コンプライアンスの名の下、この流れは加速する一方だ。そうした中、芸人・松元ヒロと出会った。

今はコロナ禍にあって、日々ワイドショーやニュース、新聞などのマスコミは感染(陽性者)の拡大を煽り、ワクチン推奨を主張し、それに反する意見は「危険」として規制をするような世の中になってしまいました。この傾向は、一昨年のアメリカ大統領選挙の頃から顕著に(あからさまに)なってきたように思えます。

そういう、どこか(どこかなんて生やさしいものではなく)おかしいと思う世の中にあって、このような映画が作られることは、まだ捨てたものではないというところかもしれません。

あなたが保守であるかリベラルであるかに関わらず、あるいは護憲派か改憲派であるかに関わらず、いま観ておくべき映画だと思います。

映画を造ったひとたちと、そして何よりも松元さんの人間性に深く打たれます。それと松元さんの奥様にも。

(参考)

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