2001年3月30日金曜日

ヒラリー・ハーン(Vn) によるメイヤーのヴァイオリン協奏曲

指揮:ヒュ-・ウルフ
Vn :ヒラリー・ハーン
演奏:セント・ポール管弦楽団
録音:Sep 1999
SONY SRCR2571 (国内版)

エドガー・メイヤーは、CD解説によると現代アメリカの作曲家にして優れたコントラバス奏者であるらしい。代表作には「コントラバス協奏曲」「コントラバスと弦楽四重奏のための五重奏曲」などがあるとのこと。この作品はハーンのために書かれた曲であり、作曲は1999年。ハーンが世界初演にして初録音となる。

このヴァイオリン協奏曲は二楽章形式で構成されており、叙情的にしてアクティブな、またヴァイオリンの技巧(特にハーンの技巧を想定した)を十分に引き出している名曲といってよいと思う。

各楽章ともメロディアスなテーマと、(不安げな)速い動きの部分が対比されているようで、そこに静と動あるいは穏やかさと粗々しさなどの対比的なものを感じ取ることもできるかもしれない。途中でパグパイプ風(?)のメロディなども挿入されるが、全ての部分が明晰なハーンの美声により奏でられており、色彩美豊かな曲の姿を聴かせてくれる。

1楽章の出だしのメロディアスなテーマも印象的だが、2楽章の朝靄が明けるような、曖昧さとまどろみからの覚醒を感じるかのようなテーマも美しい。

ラストは非常に活発にしてヴァイオリンが躍動するかのような感じで終わるのだが、ハーン自らが解説で述べているように「パワフルでドラマチック、叙情的な美しさを持った」作品といえよう。この感想を書いてからも、何度も聴いてみたが、聴くほどにこの曲のもつ力みたいなものを感じることが出来るようになってきた。ラストに向けての盛り上がりは、非常にカッコいいと思う。

「現代音楽」というくくりが今の音楽界において有効であるかは所論あろうかと思うが、一般的な傾向として美しいメロディーの復帰というものがあるのだろうか。ともすると難解にして不快な音の連続と思われがちな「現代音楽」ではあるが、ここには音楽を聴く喜びを感じさせてくれる何かがあると思う。

「クラシック初級者」の私であるため、過去の偉大なるヴァイオリン奏者とハーンを比べて評することは今の私にはできない。若干21歳という若さの彼女だがこのCDは3枚目のもの。初めての録音をバッハのパルティータとしたことも瞠目に値するが、このような意欲的作品を奏する、あるいはアメリカの現代の作曲家(あえて現代音楽家とは呼びたくないが)が彼女のために曲を委託するという事実。こういうことは素直に喜ぶべきだと思う。

若手を育てることと、スターたるべき人材を発掘することが難しいことは、低迷久しいクラシック音楽界にあって心ある音楽関係者の口から語られることである。ヒラリーが今後どのような活躍や成長を遂げるのか、またメイヤーという同時代の作曲家が、今後どのような曲を作ってくれるのか。音楽を聴くものとしてその動向を静かに見てゆきたいと思わせる一枚であった。(残りのハーンの盤もそのうち入手しようと考えている。残り3枚なんで「コンプリート・コレクション」はすぐに出来上がるし(^^;;;)と言っても、今月はもう駄目だな・・・・