レコード芸術に"傑作!?問題作!?"(片山杜秀)と称する頁があるのだが、5月号で2月12日に紹介した札響のシャンドス盤が取り上げられてる。
内容は尾高氏とこの盤の選曲のこと、そして武満氏の音楽と細川俊夫氏の音楽に関することである。武満の音楽を理解するキーワードのひとつとして「死と水のイメージ」があるとした上で、今回選曲された武満の「波の盆」もそのイメージを踏襲するものであり、また細川の「記憶の海へ ヒロシマシンフォニー」も、武満の軌跡を辿っていると評する。
「死と水を巡る想念が、武満の旋律的に豊穣な『波の盆』の音楽から細川のクラスター的に豊穣な《記憶の海へ》と伝承されてゆく場に立ち会っている心持になってくる」と片山氏は書く。
現代音楽にうとい私には、細川がポスト武満の最右翼ということさえ知らなかったが、改めてそういう観点からこの盤を聴いてみるのも面白い。畳み込むような音響と独特の色彩感のある曲だが、そこから「海」を感じ取ることができるかは、聴き手のイマジネーションに委ねられる。私はどちらかというと、屋久島の杉のような巨大な樹林を感じたのであるが・・・・
蛇足になるが、この曲にしても、先のマーラー8番にしても「浄化」「再生」というのは、昨今の政治状況に限らず魅力的なテーマなのだなと改めて妙に得心するのであった。
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