アラン・マリオンの「超絶技巧フルート協奏曲集」は、フルートをお好きな方ならお馴染みであるイベールの作品で最後を飾っています。
この有名な曲はマルセル・モイーズに献呈され、フィリップ・ゴーベール指揮・パリ音楽院管弦楽団の演奏で1934年に初演されたものです、びっくりするような組み合わせですよね。
��0世紀を代表するフルート協奏曲の呼び声が高いのですが、私はこの曲にいまだ馴染めないでいます。はじめてこの曲をCDで聴いたのは、ムラマツのCDによるモイーズの演奏(第一楽章のみ)だったのですが、録音が余り良くないせいでしょうか、あるいは未熟なリスナーだったからでしょうか、第一楽章の性急な音符の動きはちっともエレガントや粋には聴こえず、うるさいだけの奇妙な曲という印象でした。
それ以来この曲をなかなか楽しむことができない、というか聴く気にならないでいたのですが、今回改めてマリオンの演奏で聴いてみますと、そんなに悪い曲ではないなと思うのでした。
第一楽章の性急と激しさは、やはり私はついていけないものを感じるのですが、第二楽章は美しい旋律線を聴かせてくれますし、第三楽章の運動性と快活さ、敏捷性、そしてどことなく洒脱な感じは、何度か聴いてきると慌しく動き回るパリを連想したりします(と書きながらパリなど行ったことがありません=空想のパリということで)。中間部のフルートソロとなる部分から憂愁の表情に変わる部分も、今までの雰囲気と一転していてフルートの奏でる旋律を満喫することができます。
今でこそこの曲は「超絶技巧曲」でも「難曲」でもなく、音楽コンクールなどでもよく取り上げられる曲ですが、ひょっとすると見かけの技巧以上に曲として聴かせるのが至難の業の曲なのではないかと思ったりしました。
このCDは他ならぬマリオンの演奏ですから決して悪いはずなどないのですが、それでもビシッと琴線に触れてこないのですよね。この曲に対する愛着みたいなものは少しは沸いた気がしますが(笑) そのうち、もう少し別の演奏を物色してみたいと思います。
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