2018年10月12日金曜日

西沢立衛氏設計の軽井沢千住博美術館に行ってきました



休日を利用して軽井沢の千住博美術館に行ってきました。2011年に建てられた本美術館は西沢立衛氏の設計。行った目的は千住博さんの絵よりも西沢氏の建築を見るため。

リーフガーデンのアプローチを通って券売機で入場券を買い、自動ドアを開けた瞬間に広がった美術館風景には、はっきりいって近未来というか度肝を抜かれました。今まで見たことのある、どんな美術館、いや建築とも違う空間。


床は斜めに緩やかに傾斜して下っている。曲面ガラスで切り取られた中庭には目にまぶしい緑と燦々と降り注ぐ光が溢れて。その中に、千住氏の絵が、これまた絶妙のバランスで配置されている。これらの空間が明確な仕切りがなく、一体的な空間としてハーモニーを奏でている。なんと心地よい空間か、思わず「天才・・・」と呟いてしまいます。

床面のの傾斜は、もともとの地形を生かして生まれたものだとか。どうりで自然を感じられるわけです。

「軽井沢千住博美術館」ホームページのコンセプトページからキーワードを拾ってみますと、「明るく開放的な」「今までになかったような」「ゆるやかに傾斜」「ランドスケープのような一室空間」「軽井沢の自然と千住さんの芸術作品が、融合し調和」「森の中を歩くように」「プライベートなリビング」などなど・・・。まさに、どの言葉一つ、それを裏切りません。破格の美しさ。



建築家と画家が意図した通り、軽井沢の自然の中を切り取って、その中に作品が配置されているかのような空間構成。

同じく西沢立衛氏設計の豊島美術館もそうでしたが、来館者が空間にやさしく包まれるかのようで、いつまでもそこに浸っていたくなります。建築雑誌で見知っていたとしても、視覚体験だけでは、決してこの空間で生じる感情を事前に想起はできないでしょう。

軽井沢駅からも少し離れていますが、わざわざ行く価値がある場所です。




千住氏の絵は、学生時代のものから最新作まで、空間の中に見事に計算されて展示されているものですから、これはこれで満足度が高いです。それにしても、画家が存命なうちから、かくも素晴らしい美術館を有することができるとは。