生演奏と再生装置を通した演奏の決定的な違いについて考える。このふたつの違いは、音楽を聴くときの環境もさることながら、音楽に向かう集中度が圧倒的に違うのではないかと思う(この場合、オペラなどの視覚的要素が重要なファクターを締めるものは対象としていない)。
自宅の再生装置の前で音楽を聴くには、あまりにも眼や肌を通して伝わる雑音が多すぎるのだ。再生装置の前で音楽を聴く時、リスナーはライナーを読んだり解説書や楽譜を追ったり、はたまた見るとはなしに外の景色やら室内のものをぼんやり見ていることが多いと思う。音楽とは無関係な情報が否が応でも流入してきて集中力を阻害してしまう。
眼をつぶればよいという気もするが、人は音楽を聴くときであっても何らかの情報を眼から得ているという気がしてならない。音楽は聴覚、視覚、触覚(皮膚感覚)を通して伝わる情報なのだと思う。 名演も映像が伴うと、格段に感動が増してくることは、DVDなどを持たない方でも、NHKの過去の名演フィルムを見て感じることではないだろうか。
演奏会場は、ともすると眠くなってしまうことも否めないが、音楽に集中するには格好の場であると思う。自らの体調と音楽への集中度が高まったとき、それは演奏家の熱気などとは無関係に音楽は人の心に深く染み渡るのではないかと思う。
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