昨年末から青木建設、佐藤工業など倒産、三井建設と住友建設の経営統合など、遂に動きが見え始めたかという印象を受けたが、実際にはまだ多くの問題企業が存在しいる。それどころか、業界の持つ体質など構造的な改革に至っては何一つ解決されていない。巷では「3月危機」と騒がれながらも、問題は全て先送りされたというところだろうか。
「談合体質」や、自民党の鈴木、加藤、井上議員の例を持ち出すまでもなく、古くから建設業と政治の癒着や談合体質という問題も根深い。このような風土はスーパーゼネコンだろうが、地元ゼネコンだろうが温度差こそあれ同じ土俵だ。いつまでも変わらない土建国家の古きDNAだけが受け継がれてゆく。
公共工事の受注に関しては、経常JVの導入や、銀行の履行保証割合の引上げ、更には入札ボンド(保証)制度の導入の検討も開始している。後者の対策は金融機関にリスク負担させゼネコンを選別させ業界を淘汰させようという意図が見えいささか他力本願的である。
しかし、一番の問題は業界自体が、自らを改革して生き残っていこうという気力に欠けていることのように思える。会社のメッセージでは「市場縮小の中で新たなビジネスモデルを構築し、本業で収益を確保すること」といううたい文句がのぼっているようだが、業界全体にわたる視点に乏しいのではなかろうか。まだまだ、業界の改革は始まったばかり、いやもしかしたら、まだ始まってさえいないのかもしれない。
- 建設投資額と建設業者の数:建設投資額は1996年の役83兆円(うち政府投資額35兆円程度)をピークに2002年には56兆円(政府投資額26兆円程度)にまで縮小してきている。この数字はバブル以前の投資額にまで落ち込んだことを意味している。それに対し、建設業許可業者数は2000年の60万件をピークに、減ってきているとは言っても約57万件である。バブル期の1990年において登録業者数が51万件であったことを考えても、まだまだ業者数からして多い。この57万社の中に、年間売上高が1兆5千億円近いスーパーゼネコンから、1億円以下の会社まで含まれる。
- 履行保証割合の引上げ:公共工事を受注した企業が、工事途中で倒産することに備えて金融機関に保証させる制度。保証額の割合を昨年度から3倍に引上げた。金融機関は保証額の一定割合を引当金として積まなければならないため、保証に慎重となることを狙ったもの。
- 入札ボンド制度:公共工事に参入するゼネコン(総合建設会社)に対し、経営状態や施工能力について第三者からの保証を義務付ける制度。入札ボンドは米国などで、落札企業の辞退や倒産のリスクを避ける手段として導入されている。保証が得られないゼネコンを入札に参加させないことで、業界の再編・淘汰を進めるのが狙い。
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