2002年5月17日金曜日

エマニュエル・パユの「夢のあとに」


「今度のパユの挑戦は・・・ジャンルを超越した"コラボレーション"!!!」という謳い文句が踊る。今年再びベルリン・フィルに復帰したパユが録音したのが、ジャズとは驚きだ。
彼は2000年に、ベルリンフィルを退団、その理由の一つが「家族と一緒時間が余りに少なすぎる」というものだった。私は、パユというキャラクターがベルリン・フィルという枠内に、もはや納まることに満足しないのだろうと思っていた。予期された退団だった。しかし、ソリストとなりジュネーブ音楽院の教授になった後は、ソリストとしてのレパートリーの狭さに不満を感じ、教授として教えることを退屈であると言うのだ。彼の音楽に関する追及は貪欲であり、果てが見えない。
そういう経緯を考えると、今回のコラボレーションアルバムというものも、パユとして一つの帰結であると思えてならない。ここに展開されている音楽は、クラシックをやっている人が戯れにジャズも演ってみたという類のものではない。一つのかっちりとした音楽世界が表現されており、それが聴くものを捉えて放さないのだろう。
曲目は、クラシック系の有名な曲のアレンジだが、その独創性とスリリングさ。一見陳腐なフレーズが飛翔する驚き。こればかりは聴いてもらうしかない。

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