タンゴの歴史はアストル・ピアソラによるフルートとギターの定番的な作品ですが、このアルバムでの高木さんの演奏には、これまたたまげてしまいました。彼女の演奏の芯の強さとスピード感、それに思い切りの良さが加わって、女性が吹いているとは到底思えない演奏です。他の人の実演でも何度かこの曲に接していますが(誰の演奏かは失念)、こんなタンゴの歴史は初めて聴きました。
「Bordel1900」の出だしからして、ザックっとした切り口で鮮やかです。ほとんどフルートの限界近いまでに吹き込まれ伸ばされた音の効果ときたら、あいた口がふさがりません。「Nightclub1960」での特殊奏法とバラードの部分の緩急強弱自在の鮮やかな対比の見事さ。ピアソラに強烈な高木節を乗っけたといったところでしょうか、人によっては好みが分かれるかもしれませんね。
それでも人を惹きつける何かがある演奏であることには間違いなく、ライナー・ノーツに福田さんが若さに溢れた明快さ、ある意味で音楽に対する動物的な本能を併せ持っている
と書かれていることに素直に頷いてしまいます。時に荒々しいまでのノリは凄みさえ感じます。
もっとも、全面的に彼女の演奏を肯定するわけではありません。素人が何を書くかという気もしますが、素早いタンギングでのキレやトーンの膨らませ方に気になるところもあるのですが、まあそれがどしたというレベルではあります。
高木綾子 福田進一/海へ
②タンゴの歴史(ピアソラ)
高木綾子(fl) 福田進一(g) 2004年6月18~20日 スイス、ベインウィル修道院 コロムビア COCQ84000
②タンゴの歴史(ピアソラ)
高木綾子(fl) 福田進一(g) 2004年6月18~20日 スイス、ベインウィル修道院 コロムビア COCQ84000
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