2005年7月11日月曜日

映画:宇宙戦争

長くなったのでエントリを改めましょう、続いてスピルバーグの「宇宙戦争」です。思い出せば「スター・ウォーズ エピソード4」日本公開が1978年、それとほぼ同時期に「未知との遭遇」が公開されていたのですよね。あれから27年の歳月を経て両雄の映画を観るというのも奇遇なものです。

さて「宇宙戦争」はH.G.ウェルズの名作の映画版であり、「地球最後 の日」(51)のジョージ・パルが映画化した50年代SF映画の名作のリメイクでもあるのですが、この作品ときたら一体何なんでしょう。

というか、まず何だって私も含めて大勢の人達は「都市が破壊されるシーン」だとか「立ち向かう気力さえ失わせるほどの圧倒的なパワー」「感情抜きの冷酷無比さ」なんてものを見たがるんでしょう。それ程世の中平和であるとも思えないのですが。

「都市が破壊される」とか「人間以上の知的生命」で思い出すのが、ローランド・エメリッヒ監督の「インデペンデンス・デイ」(96)ですが、両者にはイロイロと共通点がありますね、突っ込みどころ満載な点においても。「カンフーハッスル」ではありませんが「ありえねー」の連続です。

それはさておいても、特撮系の信じられない映像という点では同種の映画の中でも群を抜いております。人を満載した船が横転するシーンは「タイタニック」よりリアルですし、都市破壊のシーンはスピルバーグがノルマンディ上陸を描いた「プライベート・ライアン」冒頭20分間に相当するほどの恐怖と迫力を感ます。(「プライベート」観て心底戦争には行きたくないと思ったもの)。密室系では「戦場のピアニスト」などに共通する圧迫感も味わえます。

スピルバーグの徹底したリアリズムには舌を巻きますが、それにしても彼のこのテの手法は「激突」「未知との遭遇」「ジョーズ」において既に完成していたことが、この映画を観ると良く分かります。

かように特撮リアリズムは超A級ではあるのですが、ストーリーや展開はB級映画そのもの。娘役のレイチェル(ダコタ・ファニング)がよく演じていますが、父親のレイ(トム・クルーズ)には共感できない点も多いです。

「インディぺ」もそうでしたが、ラストは「何だそりゃ?」てなもので、後半に行くに連れトーンダウンするところは、隕石追突、地球侵略ものの最近のパターンかなと。製作者も地球をメチャメチャにするところで力尽きてしまうんでしょうな。今回の知的生命に至っては、いしいひさいちの「地底人」にも劣ります。

テーマも100万年前からの知的生命がいなけりゃ家族再生もできないなんて、「外的がいないとまとまらないアメリカ」そのものではないですか。

ということで、褒めてんだかけなしてんだか分かりませんが、テロを経験したアメリカ人監督が描ける恐怖のリアリズムはあると思います。ただ、彼のリアリズムには救いがないという気がしますが。(リアリズムと映画のテーマが分裂してますからね)

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