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2006年1月27日金曜日

なんでも「市場原理主義」が悪いわけではなかろうに

ライブドア堀江氏の逮捕についてマスコミや識者が色々書き始めています。1月25日の読売新聞では「国家の品格」の著者である藤原正彦氏が、今回の事件を生み出した現在の日本の姿について持論を展開されております。

市場原理主義が経済学の中でどどまっていれば、まだいい。(中略)ところが市場原理主義は、人間の価値基準、行動基準まで書き換える。それが恐ろしい。

市場原理主義の広がりによって、日本は世界でも特異な国柄を捨てつつある。成果主義に追いまくられ、雇用が安定せず、人間を幸福にしない社会にしている。

市場原理主義によって情緒という日本人の行動基準、特に弱者に配慮する"惻隠の情"が根こそぎやられた。

実はまだ「国家の品格」は読んでいないのですが、この言説によって凡その主旨は掴めました。藤原氏が「市場原理主義」をどのようなスコープで使っているのか不明なのですが、一企業に身を置く立場からは、感情的に理解する点はあるものの、「市場原理主義」が全ての弊害ではあるまいにと考えます。

この問題は、資本主義に換わる大きなパラダイムシフトや「幸福論」を示唆しますので簡単な問題ではありません。藤原氏の提唱するのは、グローバリズムや自由を制限的に考え「武士道」精神の復活ですが、それが日本「国家」の品格につながるのか。現代の日本を憂慮する気持ちは伝わってきますので、全否定しているわけではありません。ただ傾聴すべき点は多いものの、議論がストレートすぎるなと。

さて、議論を縮小して「多様さ」を前提に考えを展開しようとしたとき、今の日本には「幸福感の多様さ」を受け入れる土台が出来ていないように思えます。「多様さ」を受け入れることは、「選択」と「選別」も避ることができず、「多様さ」の結果として「結果の不平等」を是認する以上、システムとしては「機会の平等」の整備も必要となります。そういう点からは政府の役割や企業、NPOなど組織の存在価値について、もっと議論されても良いと思います。

「国家の品格」という本は、おそらく買わないだろうなと。大新聞のコラムで大きな問題を簡単に結論づけてしまうような態度に藤原氏の「思い」先行の危険性を感じますし、最近の新書のレベルと品格は、著者の品格や主張とは無関係に、一昔前に比べて随分と低下していると思いますので(>ムカシに比べて、値段の割に文字数が少なくて内容が薄い・・・気がする)。

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