テンシュテット ベートーベン「エグモント」序曲
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一体この「エグモント」序曲は何なんだっ!と聴き終わったあと、愕然とし、呆然とし、自分が何を聴いたのか良く理解できず、改めてもう一度聴き直しながらレビュを書いています。
演奏は第5番と同様のキールフィルハモーニー管弦楽団。録音のせいなのか、実際そうなのかは分かりませんが、ここでも低弦とコントラバスは分厚いアンサンブルを聴かせてくれます。ティンパニは時にはドロドロと重く、時には決然と打たれ演奏を際立たせます。
そして第5番で聴かれた、ポジティブな推進力はここでも全く失われておらず、8分14秒の演奏があっという間です。後半の切迫するような煽りからラストに至る部分は、もはや一気呵成といった感じ。
戯曲「エグモント」はエグモント伯爵という悲劇の英雄の物語ですから、序曲は暗く始まりますし、処刑シーンを現す部分もあるのですが、演奏解釈はひたすら前向きです。というのも、この曲も結局はベートーベン的な「勝利の音楽」で終わるからでしょうか。
最後の長調に転じた部分は、自殺する恋人クレールヒェンと処刑されるエグモント伯爵の愛と正義、あるいはネーデルランドの独立を暗示しているらしいのですが、演奏はまさに圧巻の一語に尽きます。一転の曇りもない青空に向かって、特大の打ち上げ花火と祝砲を鳴り響かせているような印象さえ感じます。
圧巻ついでに、もう一度繰り返して聴いてしまいましたよ・・・トホホ(>4度は聴かんぞ、でもiPodには入れよう)
PS. syuzoさんには敬意を表してTBを2発ほど打っておきました。
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