ザンデルリンク ベートーベン「エグモント」序曲
- ベートーヴェン:『エグモント』序曲 1969.1 スタジオ収録
- ヘンデル:合奏協奏曲 op.6-3 1972.9. ライヴ収録
- R.シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』 1972.2. ライヴ収録
- ザンデルリンク(指揮) ライプツィヒ放送so.
- Weitblick SSS0055-2
テンシュテットの「エグモント」も凄かったのですが、ザンデルリンクの演奏も凄い。何が凄いって、これまたsyuzoさんではないのですがティンパニしょうか。
HMVの許光俊氏の評を引用してみましょう。
ドイツのオーケストラらしい重厚な響きを誇りつつ、鈍くさくない。雄渾なのに粗さがない。心地よい緊張感が張りつめ、音楽は痛快なまでにグングンと前に進んでいく。背筋がピンと伸びたような姿勢のよさ、凛とした気品がある。
テンシュテット&キールpo.でも感じましたが、こういう重厚さがドイツのオケなのでしょうか。しかし、当然のことながらテンシュテットのアプローチとは明らかに異なます。音楽は粛々と歩みを進め、一歩づつ運命の時に向って進みます。音楽の推進力は、テンシュテットのように坂を転がり落ちるような勢いをもったものではなく、不可逆な運命を確信しているかのような響きがあります。それを表す小刻みな弦の刻み、不安感を誘う木管や弦の響き、全く堂々としたものです、素晴らしい。
テンシュテットが熱狂さえ超えたかのように表現した勝利の解放感はザンデルリンクにはありません。あくまでも最後まで堂々と、ティンパニの乱打は凄いものの、統率されて曲を閉じます。それを許氏が指摘するように凛とした気品
と呼ぶことに、少しも意義はありません。
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