2021年12月10日金曜日

ヴィキングル・オラフソンの「リフレクションズ」

透明で繊細、静謐なアルバムを作成しているヴィルキングル・オラフソンの「Reflections」を聴きました。前作の「ドビュッシー‐ラモー」の続編として構成されており、2021年3月に発売されています。ドビュッシーやラモーらの作品をオラフソン自身や最先端のゲスト・アーティストによるリワークを収録した、ポスト・クラシカル的アルバムと言えましょうか。雰囲気もアルバムジャケットもオラフソン的です。


アルバム構成が分かりにくいのでCD紹介を引用しておきます。

ドビュッシーあるいはラモーの作品のフレーズに基づいた瞑想的なリワークは、元の作品の真価をも際立たせ、より多面的に作品の魅力を提示するものです。ポーランドのポスト・クラシカル系コンポーザー・ピアニストのハニャ・ラニ、シガー・ロスのサポートも務めるアイスランドのマルチな才能ヘルギ・ヨンソン、アイスランドの男性デュオのヒューガー(ピエトル・ヨンソン、ベルグル・ソルリソン)、イギリスのプロデューサー/DJ/作曲家クラーク、ポスト・クラシカル・シーンで絶大な支持を受けるバルモレイといったジャンルにとらわれない最先端のアーティストがリワークに参加。

ドビュッシーのオリジナルの「ヒースの茂る荒地」「カノープ」は、通常のグランド・ピアノでの演奏のほかに、アップライト・ピアノのインティメイトな録音による[ホーム・セッション]も収録され、非常に対照的なサウンド体験を提供しています。


前作に入れることができなかった、ドビュッシーの《ピアノのために》が中心となるアルバムを企画して生まれたとのこと。インタビューによりますと、オラフソンは作品解釈において演奏者の解釈を楽譜に"反映"させること、それにより新解釈が生まれることが重要だと語っています。

上記のほかに、イギリスのクラーク、テキサスのバルモレイ、クリスチャン・バズラーらをゲストミュージシャンに招き、リワークしてもらったそうです。そこからはオラフソンが予想もしなかった音楽が生まれてきたようです。

紹介されているアーティストを一人も知らないので、予備知識なしにアルバムを聴いていますと、意外性と新鮮さに浸ることができます。FREUDEのレビューにあるように「今にも雨が降りだしそうな薄曇りの日」に聴くには、そして快活に動きたくないアンニュイな雰囲気の時にうってつけの音楽かも知れません。

アルバムタイトルの「Reflection」は、オラフソン作曲による小品。ポスト・クラシカルな作品はピアノ曲とは限りません。ヒーリング的な要素を含みながらも、どこかで聴いたことのあるような断片を含む音楽は、郷愁やメタモルフォーゼのような感傷を誘います。

これらの曲にはさまれたドビュッシーの曲には、逆に新鮮に感じます。曲の着想の豊かさと自在さに認識を新たにします。

オラフソンとDGは、バリバリの正統派クラシックではなく、この路線で売っていくのでしょうかね。数多の過去のピアニストと名盤、現代の多くのピアニストの中にあって、個性や独自性を貫くのはアーティストとして並大抵ではないのでしょうね。



  • ヒースの茂る荒地 [ホーム・セッション](ドビュッシー)
  • 選ばれし乙女 [ハニャ・ラニ・リワーク(ドビュッシーによる)]
  • カノープ [ホーム・セッション](ドビュッシー)
  • フットステップス(ヘルギ・ヨンソン)
  • 水のミューズ(クリスチャン・バズーラ)
  • ミューズたちの語らい [ヒューガー・リワーク(ラモーによる)]
  • K.A.H.D. (クリスチャン・バズーラ)
  • リフレクション(ヴィキングル・オラフソン)
  • ピアノのために L.95I(ドビュッシー)
  • ドゥラゥンド・ハイク [クラーク・リワーク(ドビュッシーによる)]
  • カノープ(ドビュッシー)
  • キュピ [バルモレイ・リワーク(ラモーによる)]
  • ヒースの茂る荒地(ドビュッシー)


(参考)

0 件のコメント:

コメントを投稿