アフガニスタン復興支援国際会議への一部の非政府組織(NGO)の参加拒否問題を巡って国会が混乱した責任で、田中真紀子外相と野上義二外務次官が更迭された。
野党やNGOの大西代表などは「けんか両成敗」のような決着に不満を表明している。私も水掛論的なやりとりにはうんざりであるが、真相がどこにあったのか、あいまいなまま事を納めようとする態度には疑問を感じる。
田中外相も任期の間は、外務省との軋轢ばかりが目につき、肝心の外交や外務省改革を全く実施できなかったという印象だけを残しての退陣であり、個人的にはやりきれない思いも残る。小泉首相も、人気の両輪として田中外相を位置付けていたものの、重なる失言などから、いつ更迭するかその時期をにらんでいたのではないかとも考えてしまう。
田中外相のやり方が良かったとは思えないものの、今回の解決の仕方には釈然としない。「くさいものには蓋」的な解決では、真の改革には程遠かろう。小泉首相は、もしかしたら自らのパンドラの箱を開けてしまったかもしれない。
私が田中真紀子に期待してきたことは、外務省との対立の構図にある。現在の外務官僚は田中外相のような人を、ある意味で(外交、省内の力関係双方とも)無知と侮り、それゆえに恐れていたのではないかとも思う。そのような対立の構図から、新たなる官僚と大臣の関係を築くことができたのなら、それは「新生」と呼べたのかもしれない。彼女の外交手腕よりもマネジメント能力に期待していた。それが、今回の一件で霧散したわけで、そこに失望を感じる。
一方で緒方さんは完全なる実務家である。外務官僚といえども彼女には一目置くだろう。彼女が外相となれば外交面では成果があがるだろうが、外務省そのもののドラスティックは変革までは至らないのではという不安もある。そういう低次元なレベルを超えた活動が期待できなくもないのだが、政治の力関係に緒方さんほどの方がエネルギーを消耗するのは耐えがたいことでもある。
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