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2021年6月9日水曜日

マックス・リヒター 「Voices」「Voices 2」

マックス・リヒターの「Voices」「Voices 2」を聴いてみました。発表時期は異なりますが、一連の作品になっています。

https://music.apple.com/jp/album/voices/1520370274

Voicesは世界人権宣言にインスピレーションを得て作曲されたもの。人権宣言の文言が、各国の言葉で朗読され、そこにリヒター の音楽がかぶさります。いわゆる声楽付き音楽とは一風異なった作品に仕上がっていると言って良いかも知れません。

これを機会に、自分も世界人権宣言を改めて読み直しました。マックス・リヒターの現代に対する問題提起と捉えるならば、現代のかかえる課題はまだまだ大きいと思わざるを得ません。

続いて発表されたのがVoice 2です。


音盤の解説によると
生きていくのが非常に困難な時代に、「考える場としての音楽」として『Voices』を発表した。そして、『Voices 2』はこのコンセプトを発展させたもの。ある意味、この2枚目のアルバムは、1枚目のアルバムで提起された疑問を見つめるための空間とも言える。

とあります。

1作目で提起された様々な音楽的なテーマが、2作目で展開、深化されているということのようです。

とはいえ、1作目を知らなくても作品世界にはどっぷりとハマることができます。

都会の中を歩いたり、電車や地下鉄で移動しながら、ヘッドフォンでこの音楽を流していると、完全に現実世界からトリップしてしまい、まるで目の前の風景が現実のそれではなく、映画のスクリーンか何かのように見えてしまいます。 

それが、作曲者の意図に合うのかどうかはわかりませんが、現代社会というものが仮象でしかないことを感じさせてくれます。能天気に感受している今の自分たちの世界での享楽も幻であるのかもしれません。ましてや、この終わらないコロナ禍の時代にあっては、なおさらのこと。

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