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2006年7月14日金曜日

モーツァルト:フルート協奏曲/エマニュエル・パユ

  1. フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299
  2. フルート協奏曲第1番ト長調K.313
  3. フルート協奏曲第2番ニ長調K.314
  • アバド(cond) パユ(fl) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  • EMI Classics 56365

アバド率いるベルリンが、1996年にパユと録音したモーツァルト。パユの演奏が気に入るか気に入らないかは別としても、極上のモーツァルトが聴けることに変わりはありません。

「気に入るか気に入らないか」などと、もって回った言い回しをしましたが、パユはかつても、そして今も、世界屈指のフルーティストと言って良いでしょう。技巧面、表現力などの点からもモンクのつけようなどあるはずもありません。

そんな彼ですが、演奏をCDで聴いていますと、平板といいますか、特別なことは何もしていないように聴こえます。フルート協奏曲であるからといって、フルートソロが前面にグイグイと押し出てくるような演奏でも技巧バリバリという演奏でもない、斬新な解釈で驚かすこともしません。ごく自然に、さらりと、優雅にモーツァルトのメロディを奏でます。

たとえばK.313では第2楽章Adagio ma non troppoの気持ちよさといったらありません。肌を撫でる暑くも寒くもない、ごくゆるやかな風のような感じ、あるいは揺り籠でまどろむかのよう。カデンツァはニンフがやってきて夢見心地の唄を唄ってくれる。素敵すぎます。(ここだけではなく、カデンツァは全てが素晴らしいです)

ですからアクの強さや個性的な演奏を求める人などからは、物足りなく感じることがあるかもしれません。あまりに上品すぎるとか、うまいだけだとか・・・。

しかし、これはこれで良いかなと。極上の音楽と極上の演奏に身を任せる至福に浸りきること、私のような素人には、モーツァルトはどう演奏すべきかとか、とか、モーツァルト演奏がいかに難しいかなど、到底理解できません。聴いていて心地よければ、それが全てではないかと思ったりします。

とにもかくにも、パユのモーツァルトには惚れ惚れ。しかも聴いていて落ちつた気持ちにさせてくれる、そんな演奏だと思います。

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