2012年8月17日金曜日

町田康「宿屋めぐり」

「告白」と似たような文体
だらだらと長いがリズムがあるので苦にはならない。
1/5くらい読むあたりから独特の町田節に完全にはまる。

しかし先は読めない。
どこに落ち着くのか、
このめちゃくちゃな世界と主の存在。

主人公のねじれの意識とどうしようもなさ。
自分では意識的に「よりよく」やろうとしているのに結果は散々。
自己保身と自分のことしか考えない。
それなのに、自分が優れていると思う。
他人をねたみ、どうして自分だけが不遇なのかと嘆く。
たまたま力を得たら、それを最大限に利用して欲を解放。

結局、うまいもの食って楽に生きたいだけなのに、それをそれを正当化しているとしか見えない。

そこを最後に「主」にとことん指摘される。

しかし、そういう生き方をする限り「宿屋めぐり」は続くと。
人の記憶など、交換可能でたいした差がなく。

しかし、作者は、そんな人生に意味があるのかと否定的では、おそらくない。

宿痾(しゅくあ)みたいなもの?