見慣れた風景が、地震や洪水、あるいはその他の外的な要因で崩壊し、人間が不在となった世界を描く。
というと、暗くネガティブな印象を受けるが、実際に作品に接した時には、むしろ暴力的な印象よりも、静謐感や哀しみとともに沸き起こる懐かしさを感じる。
というと、暗くネガティブな印象を受けるが、実際に作品に接した時には、むしろ暴力的な印象よりも、静謐感や哀しみとともに沸き起こる懐かしさを感じる。
それは、リトグラフという技法のもつ肌合いや温かさ、そして昏さゆえなのだろうか。作品は大きく、図録や写真から受ける印象程に画面は細緻でない点も、実物を見て初めて確認できた。
見慣れた風景の中に生じる違和感とか、歪み。そして引き伸ばされた時間。画面の中では空間も時間も歪められている。破壊やカタストロフに主題があるのではなく、その後の置き忘れられた時間がつくる、廃墟のみが有する穏やかな荒廃というゆるやかな時間の歩み。
廃墟に植物をからめることで、さらに人間の時間軸から離れた永遠と新たな生命感、再生を感じる。
それが、いかなる再生なのかは示されていないけれども。
廃墟に植物をからめることで、さらに人間の時間軸から離れた永遠と新たな生命感、再生を感じる。
それが、いかなる再生なのかは示されていないけれども。
アートフロントギャラリー 代官山