2008年2月17日日曜日

スイス最大の絵画盗難事件


2月11日の報道によりますと、スイス・チューリッヒのビュールレ美術館(Buehrle Foundation Museum)から10日に、セザンヌ、ゴッホ、ドガ、モネなどの名画が武装した3人の男達により盗難にあったとのこと。総額175億円(180 million Swiss francs (EUR112.4 million))にものぼる被害額。スイスの美術品盗難事件としては最大規模。先週ピカソの作品が盗まれたばかりです。



被害額よりも、セザンヌのかの有名な「赤いベストを着た少年(The Boy in the Red Ves)」が盗まれたというのは、かなりショッキング。




モネの盗品は「ベトゥイユ近辺のひなげし(Poppies near Vetheuil)」(1879年)という、これまたモネらしい初期を代表する作品。


あとはドガの「Viscount Lepic and His Daughters from 1871」とゴッホの「Blossoming Chestnut Branches from 1890」



日本の新聞では詳細が分かりませんので、とりあえずGoogle Newsで海外記事を検索してみましたが、続報を含め情報が非常に少なく、日本の報道に毛の生えた程度。それでも、いちおうまとめておきましょう。


警察の報告によると盗難は下記のような様子だったらしく。


the three-strong gang who were wearing ski masks and dark clothing entered the museum half-an-hour before closing on Sunday.


One of the robbers used a pistol to force museum personnel to the floor, while two other members of the gang went into the exhibition hall and collected the four masterpieces.(Mirror.co.uk)


これらの作品は、美術館長Lukas Gloorによりますと、among the most prized in the museum’s 200-piece collection.とのこと。さらに彼の説明によれば


the stolen paintings were so well-known that “on the open market, these pictures are unsellable.”
(The News)

盗まれた絵の画像を確認するまでもなく、あまりに有名な作品ですから当然でしょう。ただ、Art Loss RegisterのスポークスマンMaja Pertot Bernardは次のように言っています。


"Very often when paintings like this are stolen they are used in the criminal underworld as collateral, say to repay a debt,"(OTTAWACITIZEN.COM)


また事件の調査官は「オーダーされて」盗まれたわけではないと指摘しています。なぜならば


they were hanging in a row and the thieves seemed to have simply removed what they could.(gardian.co.uk)


絵画はガラスパネル越しに展示されており、盗人達が作品に触れた途端アラームは鳴ったのだそうで。警察がすぐに駆けつけたものの盗人達は既に逃走した後。15人ほどの見学者が上の階に居たそうですが、何が起きたのか分からなかったそうです。Lukas Gloorも調査官と同じような発言をしています。


they appeared to have grabbed the first four they came to, as they left even more valuable works hanging in the same room.(Telegraph.co.uk)


下調べはしていたようですが、とりあえず高価で手近な作品を急いで盗んだようです。その後、美術館の前に駐車しておいた白い車に乗って逃走しています。


“We had done everything we could to protect the paintings to the best of our knowledge and capability.”(guardian.co.uk)


とLukas Gloorは言っていますが、美術品盗難があるたびに警備や保護体制が問題になります。今回も武装した強盗による短時間の犯行ですから、美術館に入るのに金属探知機やら持ち物検査でもしないといけないのかもしれません。




ちなみにビューロー・コレクションは故Emil Georg Buehrleが第二次世界大戦の最中、ナチと同盟軍に対して武器取引を行って財を成して作り上げられたものだそうです。