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2002年8月5日月曜日

住民基本台帳ネットワーク稼動開始

「国民に十分な説明のないまま」住基ネットが本日から稼動を開始した。東京都 杉並区、国立市、神奈川県 横浜市、福島県 矢祭町などいくつかの行政単位は、個人情報保護に関する整備が不充分であることから住基ネットに不参加という立場を崩していない。
 
「国民総背番制」などという呼称でマスコミは懸念を示してているが、わたしはIT化社会において個人がコードで識別されることは、ごく当然の成り行きだろうと考ている。「国家が国民を管理する」ということに関する議論がまず重要であるとは思うが、議論の前提が私には整っていないし、諸外国の事例もよく分かってはいない。住基ネットに関しては総論では賛成ということになる。
 
だからと言って、現段階で諸手を上げて住基ネットに賛同しているわけでもない。以下の点を具体的に説明してもらった上で判断したいというのが本音だ。
  • 現在できることはどこまでなのか(10省庁・93事務)
  • 現段階での用途外利用の範囲は具体的にはどういうことか。
  • 利用範囲を拡大させることに関する手続きはどうなのか(264事務への拡大を含む)
  • 住基ネットを含め、政府が管理する個人データの将来像について(戸籍、年金、納税、健康保険、国勢調査レベル
  • の情報から公共施設利用状況などの情報などを含め)
  • 今回のシステム稼動に関する行政側のコストパフォーマンス(今までのコストとの比較、既にかかった投資額、今後のメンテナンス費用を含め)。行政機関は合理化されたのか(人件費、書類保管などに関わる経費を含め)
  • 今回のシステム稼動に関する住民側のコストパフォーマンス(時間およびコストメリットに関する評価)
住基ネットそのものについて、あまりにも無知すぎるのだ。そもそも「行政が個人を確定させるための作業」が、そんなに膨大に行われているということさえ実感を伴って理解できないのだ。
 
セキュリティやファイアーウォールについては説明は不要だ。聞いても専門的なところは分からない。おそらくハッキングも行われるだろうし、内部漏洩も生じるだろう。それについて今から懸念を表明してもムダなことだ、そんなことは私にはどうでもよい。まず、想定している効果とシステムコンセプトのみ簡潔に説明してもらいたい。総務大臣が「大丈夫、みんな便利になるんだから、使えば分かるよ」と力説しても説得力はない。当事者による数値が示され、さらにその数値の妥当性を第三者が客観的に評価するようになってはじめて納得できる。
 
以上が明確であれば、住基ネットの発想には賛意を表わしたい。私の目に触れていないだけで、以上が説明されたものがどこかで公表されていたかしら? 私もヒマではない。毎日隅からスミまで新聞を読んでいるわけでも政府のHPをくまなく見ているわけでもないので、周知の事実なのかもしれないが。

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