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2003年12月18日木曜日

ジュネスさんのヒラリー・ハーンのレビュ

アマチュア・ヴァイオリニストのジュネスさんから、ヒラリー・ハーンのレビュが届いたので紹介したい。ジュネスさんは以前もレビュを送ってくださったことがあるように、熱烈なハーンのファンである。今回のレビュも、ジュネスさんのこの曲に対する考え方や、5枚のCDを比較検討した上でのハーン評など、大変に丁寧な文章になっているので、ぜひとも読んでいただきたい。

レビュを読みながら改めてCDを聴いてみた。私はどうもブラームスとの相性があまりよくなく、ブラームスで心底感動する演奏に、あまり接したことがない。渋さというか重厚さという先入観からか、飽いてしまうところがなきにしもあらずなのだ。

ハーンの演奏は、爽快さをともなって、どこか突き抜けた世界観をいつも構築してくれているように私には思える。軽やかというのとも違うのだが、ブラームスの協奏曲も、彼女の手にかかると艶やかさと軽やかさの中に、確たるものを聴かせてくれている。軽快さはジュネスさんも指摘してるオケの編成のゆえかもしれない。

彼女の毅然として凛とした演奏手法はフレーズの隅々にまで行き渡り、神経がギリギリにまで研ぎ澄まされているかのような印象を受けながらも、決して技巧だけに傾いた演奏ではない。技巧の極地は逆に音楽に余裕さえ与えているように思える。エモーショナルに傾いた演奏でも、重厚さや艶やかさを強調した演奏でもないのに、音楽から溢れてくる美しさと躍動感。彼女の演奏はやはりどこか突き抜けていると感じた。